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風織 猫目石 百の風車で集めた風を 千の糸車で紡いで縒った 解れやすく消えやすく 気まぐれな糸に指先の 擦れた血色をにじませて 薄桃色に染めていく 指先全てすり減らし 車がからりと止まる時 消えずに残ったひと巻の か細い糸が出来上がり それでようやくハンケチほどの 小さな布を織れるのだ 百の風車で集めた風を 千の糸車で紡いで縒った 糸で織り上げその血で染めた 薄桃色の風の織物 |
作者紹介/猫目石。寓話。それも奇麗なだけじゃない寓話。風が透明とは限らないし。 |