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軌道修正

月花星


大雑把にぐるぐる回っていた

地球が球体なんて

意識も無くって

ただ目先の方向に

方向を変えたり

流されていたり




目の前を70度に横切ったあなたを見つけたと

「はっ」と何か気付いたような

目の前の「霧」が消えたような


急いで

アクセル全開で

あなたの行く方向に

軌道修正をかける


しかし、その角度は急で

そのスピードでは追いつかなくて

初めて「慣性」の「重み」を感じた


身体がこんなに重く、自由でないなんて


方向を11度変えるのが精一杯


錆びた頭で軌道計算

きみのルートに合うまで

徐々に軌道を変えてゆく


あともう少し

右3度

1.5度修正降下

2%加速

左0.4度修正

0.3%減速

上0.13度上昇

1.2%加速




重力に縛られた躰を

なんとかあなたの行く方向へ


やっとその背中に近づいた

やっと「出逢える」




そのときあなたは

ひらりと躰を翻し

「不可能な急旋回」で眼前から消えていった

あんなに軽々と軌道修正できるなんて


とても自由に


まず私は私の呪縛から離れなくては

脱ぎ捨てて軽く・自由にならなくては


一生かかっても追いつけない

今の私では


変わっていこう

きつく纏った「甲冑」を

脱ぎ去ろう


裸になって・・・


裸になる

勇気を・・・


もう少しの勇気を

得るために


私は、急降下をはじめた


「地面」すれすれで

いらない全てをたたき落として


急上昇して

戻るさ

再び

必ず




〜わたしに必要なのは

      最新型の翼じゃなくて

    もっと自分を生かすこと

      不要なものを棄てること




あなたを見つけて気付いたこと



作者紹介/月花星。皆さんの作品を読んでとても背中を押される気がする。でも、つま先を放すのは、自分自身でしかないのですね。