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彼方・・・・

幻影


満月が誘う ビーチサイド

ビロードのような水面と 

淡い光にきらめく弾けた波たち


波にゆがむ水中の月が 

母のように両手を広げて誘っている


「おいで、つつんであげる」

生きることに疲れた心


全てをゆだねてしまいたい

もう・・・何も・・・・・


悪魔のような誘惑は 甘く甘美なKISS

薄く微笑む私


もう、恐れは何も無い

心地よさだけ 広がってゆく


ふいにあなたの声が聞こえた気がして振り返った

居る筈の無い・・・あなたの姿・・・


腰に打ちつける 冷たい波と頬に伝う後悔の涙


月の差し伸べた手はもう見えない

見えるのは居る筈の無い

あなたの広げた両腕だけ・・・


もう1度・・・・

あなたの腕に帰りたい


もう1度・・・・

生きてあなたと歩きたい


打ち寄せる波の声が

「もう。大丈夫だね」

と、呟いた・・・・・



作者紹介/幻影。幻影と申します。私の書く物は心のその時の叫びかもしれません。飾る言葉が見つからず。でも、素直な気持ちなのです。