それから
八木隆充
雨上がりの空と長い影の帰り道
誰かが夢と呼ぶもう一つの現実
気がつくと手折られる路傍の花
気付かれず流れる明日の雲
問い続ければ戯れ言になる
目をつぶれば引き戻される
追い求めれば消えゆく虹
立ち止まれば泣き出す子ども
その掌に握り締めたままの花弁と
問われる事なく芽吹いてゆく種
全てに渇望した夜と
全てに絶望した朝
百の失望にこの目を潰し
一の希望に我が身をやつす
季節は今日も語りかける
何度目かの今を連れていく