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画布 安部玩具 あなたは沢山の絵筆を画布を僕に握らせ いつしか町から消えてしまった 滴り落ちる絵の具も 色鉛筆の素描も 凡てが凡て空しいもので ああ僕はこの町で独りなのだ つまらない落書きを誉めて 沢山の歌を歌い 空を見てから 言葉と居場所を失った 最初から無かったのだとうめく様に 町からは何もかもが消えてゆく ああ僕はこの町で独りなのだ
そして 独りでなくなる瞬間に 子供のように脅えている孤独
帰りたがる我が侭なあなたを押し返すように 破けた画布をはりなおし 時間を計って脅える 僕は二人 あなたが消えて二人になり 孤独の中で幸せな夢を見ている いつまでも いつまでも 凡てが僕の夢であり幻であり罪なのだ |
作者紹介/安部玩具。一応肩書きは詩人。文学作品も落書きの様な散文も詩も書く絵師であるとも言われるが、実際は不明。依存性の高い詩ばかりを書く。 |