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パイナップルのような幸せ

猫目石


パイナップルのような幸せを噛み切る

繊維が奥歯に挟まって

舌先でつつく



甘い

酸っぱい

そういうものも溶かし尽して

ただかすかすとした繊維が

奥歯に挟まっている



とたん厄介に思われる






パイナップルのような幸せを噛み切る

したたる果汁は

唇の傷痕に染みたりする



とたん厄介に思われる






夏だというのに

夏だからこそ



パイナップルのような幸せは

甘い香りをほとばしらせて

今日も私は噛み切るのだ



奥歯に繊維を挟ませながら

パイナップルのような幸せを









作者紹介/猫目石。タイトルが不意に浮かんでできた詩。