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掘り当てたものは

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月のない夜、絶望の詩を詠いながら深く深く穴を掘っている時に見つけたのです。

最初にそれを目にした時は私自身が埋められている、という

錯覚を起こしてしまうほど私によく似たひとでした。

私は彼女を引き上げ、埋めようと思っていた死体を収めた後,

あらためて彼女をみました。



ほどなく彼女は目を覚ますと、こういいました。



あなたが掘り当てたわたしはやはりあなたなのです。

わたしはあなたがいままで見つけることのできなかったあなたです。

わたしは愛の詩を詠い、人々に究極の本質について問いかけることができるあなたです。



わたしがいままで絶望の詩を詠い,人を殺し、深く深く穴を掘る仕事を続けてきたのは、

私がけっして殺人好きなのではなく、きっと彼女を掘り当てたかったのでしょう。



私は救われるのだろうかと、そっと笑いながら彼女をみると、

彼女も同じ笑い顔で私を静かにみているのでした。



そして



それからわたしたちはふたりで穴を掘り始めました。

彼女の詠う愛の詩を聞きながら、いままでのわたしを埋めるための穴を。深く。さらに深く。