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人の外

bluedesignR


25,6才の頃

南の国で、

一晩中発作で呼吸のままならない私は全てを罵った。

神や仏を罵った。

住んでいる環境を罵った。

所属する会社を罵った。

社会を罵った。

私の体質を罵った。

親を罵った。

在りとあらゆるものを罵った。

私自身を罵った。

私自身を罵った。

私自身を罵った。

朝まで罵り続けて、そのときから私は人の外にいた。

仕事も、仕事に頑張る人も、それなりの人も、

友人も、そうじゃない人も、

恋愛対象のひとも、対象じゃない人も、

生きる喜びも、寂しさも

家族も

目的も

目標も

夢や希望も

欲望も

等しく距離を保っていた。

それらは決して揺るぐことのない大理石のような壁の向う側に在った。

その大理石を静かに見つめていた。

時にはその大理石が私に近づいてきたような気がして、必死に壁を抑えている振りをする私もいた。

壁の向うを目指したこともあった。

しかし、やはり私は人の外だった。

あらゆることに距離を保っていることを人に指摘されたこともあった。

おかしなことに逆に優しい人と勘違いしている人もいた。

親や私の周りの一部の人間は、私の本質についてうすうす感づいているようだった。

それはそれで構わなかった。

いま、私を優しく包み込んでくれるのは私自身から生みだした詩だけだ。

他人からみれば、ちょっと切り口の違う、ちょっと変わった詩かもしれないが

それでも人の外にある私の、唯一の癒しが私自身の詩なのだ。

一生、人の外であってもいい。

私は私の詩で自分を保ってゆこう。

そう決めたのだ。