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こぶし緩めて

yuu


暗闇の中にいいる きみを あたためたい


”がんばれ”なんて 言わないよ

そう言われたときの むなしさ やるせなさ 

わかってしまうから


”独りじゃないよ”なんて 言わないよ

そう言われても そう感じてしまうとき  

こころに届かないの しってるから




泣きたいのに 泣けない 辛さ

笑いたくないのに 無理に 笑おうとする 痛み


胸の鉛が 鈍く重く 

こころの上に のしかかる




僕は なにもできないかもしれない

なにも 溶かしてあげられないかもしれない

だけど


こころの両手は 開いてるから

泣きたいときは無理しないで

泣いていいから  ここへ おいで


きみの こころの 奥深くに眠る

冷たく固まってしまった塊に

大きくて あったかい 毛布をかぶせて

今すぐ 溶かして 暖めてあげたい




暗闇の中 独り感じたときは

硬く閉ざした こぶし その手を

そのまま  こぶし 閉じたままでいいから

そっと  前に  伸ばしてよ


伸ばした腕の 先のほうに 

遥か遠く 向こうのほうに 

ほんのちょっとの うす灯りが 

見えてきたような 気がしない?


そしたら そっちのほうへ 一歩づつ 進んでいってよ

ゆっくり ゆっくりでいいよ


ゆっくり進むうち  灯りが 近くなってきたら 

立ちどまって 眼を閉じて

そっと ひといき 深呼吸してみて


あたらしい空気が 肺の中に

ちょっとづつ ちょっとづつ

入りこんできた気がしない?


この空気は すごいんだ

すごい魔力を もってるんだ

胸の重い塊を 

さらりとほどけて 溶かしちゃうんだ


あたらしい空気感じたら

硬く閉じた こぶし緩めて 

その手のひらを  指を開いて 

そっと 前に伸ばしてみてよ


暗闇の中 うす灯りに照らされながら

伸ばした先の両の手が  

息吸い始めて  深呼吸はじめて

ほんのちょっと 体の力が 

ぬけてきたような気がしない?




そしたら 眼を開けて こころ開いて

そっと周りを 見まわしてみて

暗闇だと思ってた 周りの景色に

ぽつぽつと ちっちゃい灯りが点在してるかもしれないよ


その灯りは ちっぽけだけど

きみの周りに集う  きみを すきなひとたち

きみを たいせつに想う人たちの 

それぞれの想い 

こころの灯り




手探りでいい  その灯りを 見渡しながら

遠くてもいい  もう 一歩さきへ  その重い足を 踏み出してみて


うす灯りのなか きみに出逢えたら

そしたら こころで包みこむから 


たとえ きみがいやがっても  おおきなおせわでもなんでもいいよ

僕は かってに 包みこむから


手探りでいいから 指を伸ばして

暗闇だからこそ  遠く はるか 

みえる灯りが あったかいから




だから

こころ 閉ざさないで


ふるえる たましい ふさがないで

あふれるやさしさ 捨てないで



作者紹介/yuu。よろしくおねがいします。