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魔法

イサムスキー


神様の声を、ぼくはしってる。

それは中三の頃、案外と神様はぼくの枕もとにいたりして、

「夢だったのよ」そんなきみの問いかけに、ぼくはさめない

夢をみていた。8月のまっ白な太陽はにせもののようで、

つかまえた夢はあまりにもリアルだった。


  ぼくは時間を止めたんだ (あくびがでたよ)

  ぼくはなぐった (ヤツはぶっとんでった)

  空は満天カシオペア座に大いばりで

  ぼくは告白をした (それは夕暮れの噴水)

  ぼくはフラれた

  ぼくは飛んでいた (ふわふわふわふわ)

  そして、ぼくは落っこちた


飛ぶこつは@しっかり足を動かすことA手もちゃんと使うこと

失恋は笛の音(ね)に似ている。噴水の無口さに、ハトの無愛想さに、

きっとそんなやさしさに、たまらなくなって泣いちゃうんだ。

カシオペア座は飛んでいった。うっかり屋のぼくの指をすり抜けてさ。

元気でやってるかい?

いろんなものが戻ってこない。

いろんなひとを悲しませ、いろんな間違いをおかしながら。


目を覚ますとぼくは泣いてた。

朝のぬくもりの中、ただ夢であること、夢の中のぼくがあまりにも

イキイキしていたこと、そんなことにいつまでも涙が止まんなかった。


  <マンゾクハ、ソウゾウリョクノケツジョ>

      <満足は想像力の欠如>

        君は満足かい?
        

         そうなんだ

  ぼくはまだ、まだこんなにいっぱいの     


ただそんなことだけがうれしくて、ぼくの涙は7月は朝のように

いつまでも眠たげだった。ぷーんて布団は、とってもあったかい

においがした。

「まだ寝てなさい。いいのよ、大丈夫・・・もうすこしそのまま・・・

 目が覚めるまでそうしてて」

ぼくはまどろみの中、とてもまぶしかった。

キラキラとした思い出に浮かぶ、ゆれる三日月を盗んで、

走り出した校庭、逃げ込んだテトラポット、迷い込んだ約束に、

その先に、一体何があったんだろう。とりとめのない神様の魔法。

       以来ぼくは夢をみている。



作者紹介/イサムスキー。ものを書くのが好きな大学生です。どうぞよろしく。