詩人達の部屋

詩人ギルド

リンク

作者へメール


砂時計をめぐる断想

N.K




砂時計の中のもの。


それはどこだったか

聞こえるのは鳥のさえずり,

あるいは,波の音。


なつかしさ。


なつかしい目覚め、

なつかしいまどろみ、

そこは暖炉のそばのゆれる椅子なのか。


私はすでに老人なのか。

私は今だに乳飲み子なのか。


あるいは,

塹壕の中の震える兵士なのか。


なつかしい昂り、なつかしい戦慄、あるいは

予期せぬおののき,新たな危機。


ガラスの中の砂が落ち,

私の中で時が止まる。


私は砂時計を逆さまにする。


そこは、いったいどこなのか。

私は、いったい誰なのか。


私がまた、流れ始める。



作者紹介/N.K。高校のころ、詩を少し書いたことがあります。それから20年のブランクを経て、書いてみました。(高校のころ書いていたと言ってもただ,ノートに書いただけですが...。)