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アオ

水月央


まだ白んだ空の行方を知らず

僕は見上げた

飛行機は雨を引いて消えて

一筋の光だけを残した


温かい猫を抱きしめて

僕は生きてることを覚える

側に丸まった毛布をつかんだけれど

もう届かない景色が過去という場所へ飛んだ

それは空の遥か彼方


有刺鉄線を乗り越えた君


昨日と変わりなく見える葉でさえ

僕を追い越していく

電源の入っていない携帯なんか

意味なく持っていただけ


年を取らない写真を見つめて

僕は昨日を覚えている

変色したのは僕の方だったけれど

アルバムの端に置いたセンチメンタリズム

それは空の青を吸い込んでいく


傷ついても泣かない君


愛らしかった君の面影を引いて

新しい君を造る君も

立ち止まって泣きたかった僕も


有刺鉄線を乗り越えて

見つけたかったのは夢の中に沈んだ石の欠片



作者紹介/水月央。最近はゴンタくんと呼ばれてます(なんで?)もちろんノッポさんとゴンタくん、のあのゴンタくんです・・・(無言)。