一人
月島葉月
群青のそらに
細い三日月が見えはじめ
信号が赤に変わる
停止線を越えぬよう
静かにブレーキを踏むのが
ひとつのルールとなった
溢れ出す人と車の波の中
こんなにもひとりぼっち
ぽろりと流した涙は
走り出すまでに拭ききれず
後から後からこみ上げるから
もうほおっておくしかないだろう
おかあさんおかあさん
こんな日は
あなたの家に帰りたいよ
一人で生きていくと強がったけど
あの頃は
一人の意味を知らなかったよ
一人の意味を知らなすぎたよ