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風の音

yuu


    きみは 空高く 伸びゆく 

かたい 一本の木の幹のよう


どんなに抗う 風にも 

揺らぎはしない


木陰を作り

陽射しに

かすかに 暖められ

酸素を発し


空からおちゆく

冷たい 雨を受け


凍える雨の ひとつぶ ひとつぶを

その幹に 吸収しながら

枝葉を育て


その高く伸びる 木の繊維の

ひとすじ ひとすじに


意思があり

こころがあり

たましいが込められ


きみの発する こころや

痛い叫びや 

ささやかな つぶやきは


木の枝葉に そよいで

光をおとし

根まで おりゆき

土を伝りながら


地にはう草木の 

こころに 届く


繊維が まだ 細いころ

きみは まだ幹ではなく

そびえる森の中の 

1本の ささやかな木に すぎなかったが


冷たく吹きすさぶ雨風にさらされたいまは


強靭な精神を宿し

暮れゆく 空を掲げる

1本の木たる  魂


木の中に流れる

その雨水は


ときに冷たく  温かく

季節の変わり目の川のように

流れながら


木の葉を茂らせ 幹を伸ばす


その どくどく流れる

生きてる鼓動を 


そっと 静かに

抱きしめると


脈打つ こころが 

小さく震える




枯葉色が 深く

色づく季節に


土からまっすぐ伸びたる幹は

どんな風にも揺らぎはしない




ただ

その葉の上だけを


季節が通りゆき

ゆっくりと 色を変え


そよそよ風に揺らされて

雲に向かって 空高く 


その かすかなる葉音を




そっと遠く


響かせる



作者紹介/yuu。よろしくおねがいします。