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存在証明

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ある一面


あなたのいない日常は 

あなたのいる日常に とてもよく似ていた




常に意識をかすめる 不在の現実

その現実さえ うまく受け入れられずに

時は 絶望のうちに たんたんと 過ぎていく


あなたがいない現実を なんとも思わない人々が  

街をよこぎり 笑いながら歩ていく


他人の満面の笑顔が 心臓に こんなにも 突き刺さる

なにか異質なものを かいま見てしまったかのように 一瞬で目をそらす




あなたは 孤独な魂の塊となって この夜の闇の中を 独り 泳いでるのだろうか


怯えることなく ふるえることなく


さえぎるものなど なにもない  今度こそ自由な空間で




1ヶ月経ち 2ヶ月経ち

1年経っても あなたは 帰ってこなかった


      あなたは 旅に出ている

      ちょっとそこまで  手を伸ばせば 届く距離に

      あなたは たたずみ  歌い続けている


      歌という 置きみやげを残し

      また 両手いっぱいに 歌と音を抱えながら

      ちょっとてれくさそうに笑いながら還ってくる




このめまいがするくらいに 果てしなく長い 失われた不在の間

その置きみやげを ほんの少しでも理解し

あなたの伝えたかった真実に近づいていくことで

逢える日までの 時間をまぎらわそう




不在を信じないことは 唯一の救いであり

現実逃避以外の ナニモノデモナイ


逃げだった




思考回路は どこか1ヶ所 ネジがはずれている

ほんのちっちゃなネジだから 気にしなければ ただそれまで

だけど 何か重要なものが 欠けている

何処かで巻き戻さなければ このまま どんどんずれていき

ある日 まったく異質のものに 変化しているだろう 


日が 経つごとに

もう2度と逢えないかもしれない現実を

これでもか これでもかと 何度も何度も叩きつけられ

突き付けられる




ちゃんと 受け止めなくてはいけない

誰もが壊れかけたものを見るような目で語る  自分でも想う

でも どうやって。。。?

どういう方法を持ってすれば  あなたの この不在を受け入れられるんだろうか

誰か 誰でもイイカラ その術を教えてクダサイ


混沌と 意識が ほどけていく


ココロの隙間に ぽっかりと空いたまんまの穴 

あなたでなければ 他にはなにもいらない


不在を確かめるべくもなく

失われたココロは 痛く欠けたまま  ただ 日常が 過ぎていく

あなたの不在が こんなにまで 日常にまぎれていく


絶望の淵に立つ 遠く離れた それぞれの魂

救いも癒しも そこにはなにもない


あなたがいなければ

この世界に 意味など なにもない


眼まで ココロまで

なにもかも閉じたまま 暗闇に のまれていく




このままじゃいけない

このままじゃ あなたが残してくれた あの歌の意味さえ

日ごとに 失われていく


そんなことは あなたの本意じゃないような気がした

ただの妄想かもしれない

だけど ココロに響く あなたの歌声 忘れることだけは したくない






あなたは きっと 空気に深く 溶け込んでいて

この部屋中に 心地よく充満し


閉めきった窓を開ければ

さらりとほどけて 夕方の風と混じりあっていく




あなたは あなたの好きな空へ

さらりと風に吹かれながら 溶けこんでいく


そして そこに広がる雲になって

この地上に足をのせるわたしたちの眼に映る




それは 


あなたのいない絶望的な喪失感にとり込まれ続ける 自分自身を

癒し 歩き続けるための 

唯一の 思考回路だった


あなたとの再会を 渇望しながら

あなたの存在を 空気の中に感じる




あなたの不在は


たとえば こんなふうだった







作者紹介/yuiu。よろしくおねがいします。