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ねつ

葉月京


あたしはあたしのすべてで

あのひとに印しをつけた


草食動物のまなざしで

陽炎に燃える空の熱さで

(あたしは小さな水鳥だったから)


あのひとはたゆたいのなかで

あたしのすべてに封をした


王者が沼を見つけたように

雨季に生まれる大河のように

(そのときあたしは水鳥だった)


深い孤独の森の木陰で


あたしとあのひとは足をのばした

腕をのばして泣いた

あのひとのとなりで
あたしは泣いた


(明日飛び立つ水鳥を捨てて

勝手に飛んでいった)




あたしのつけた印しは

いつか熱を生んで


水のありかを教えるだろう



作者紹介/葉月京。空を見るごとに、季節の移ろいを感じ、少々困惑。はやいなあ、ホントに。