「解」
古松桜一
秋、
その夕方、
東の空に青い雲が見えた。
もっと良く見えるように、
レースのカーテンを少し開けた。
チリン、
それは、
しまい忘れた風鈴。
青い雲に風が吹き、
僕は、
後ろの世界を忘れた。
青い雲と風鈴、
この秋に、
この薄暗い夕方に、
風鈴の、お前の、
ささやきは、
お前のささやきが、
ひと雫となって、
あの雲を、
青く、
この乾ききった、
氷点下の砂漠に。