ふるえ
yuu
ガラス玉に 映る世界が
にじんで 逆さに見えた
この 逆さの世界が
もし 現実だったら
暗い路地裏から 空へ伸びた
あの 階段を
駆け上がっていけたかもしれない
そんなことを 想いながら
掻きむしった皮膚から
ぽろぽろと
黒い かさぶたが
はがれ落ちる
かさぶたの下の 傷跡が
止まった呼吸とともに
浮かびあがる想いを
射すくめようとした
瞬間
固くにぎりしめた 手のひらの
すきまから
ふいに
無数の涙が
零れ落ちた