鼓動
葉月京
止まらないで
ゆっくり
いちばんつらいことは
いつもうしろに
歩けるだけ歩いたら
声をあげて泣くように
(緑の下の 鈍い銀)
(くずれるような わずかな)
(好きだった)
そのまま
いつもひとり
たくさんもひとりも同じ
だけど
魔法がかかるのは
鼓動が熱を帯びるとき
あの感覚は
ただの魔法
もう
思い出したくもない