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dust.1 そらのくじら 薄紅色の雲が消えて 夕凪が息を吹き返したら み天に響く みみずくの祭り唄 今夜海岸公園を発つ船で ぼくは終わりのない旅に出よう 伸ばした三つ編み 切り落とそう サックにパンとブランディー 君が残した文庫本と ブルーベリィの砂糖漬け 猫とシクラメンにくちづけしたら 鍵はかけずに部屋を出よう 新月に浮かび上がる真っ白な下り坂 遠く耳を澄ませば夜光虫とくず星の 消え入りそうな泡のつぶやき ちいさな銀のハァモニカ ポケットの中で握りしめて プラタナスの散るこの道を あの公園まで下りてゆこう 銀河の彼方であたたかな声が呼んでいる 今夜ぼくは旅立とう |
作者紹介/そらのくじら。:シーラカンスになりたい綿ぼこり。 |