哀
八木隆充 |
呼び掛ける声に答える言葉もなかった
降り積もった罪と罰 苛立ちと不安に声を枯らした
何を求めて歩いてきたんだろう
信じられず痩せこけた心 優しさの欠片さえ見失いそうで
これっぽっちの物語にしがみつき
耐え切れず掻きむしる指先
煽られるこの繰り返しの夜に
物言わぬ明日が浮かぶ
壊れた時間に流される心は乾涸びて
望まれない言葉 夢の終わりに迷い始める
何を信じて歩いてきたんだろう
繰り言を呟くだけの時に 当たり前に答えなんかなくて
これっぽっちの希望を盾にして
いつの間にか覆い隠した気持ち
苦悶の果てに現れたものは
不信に潰されている顔という顔
本当はただ笑っていたいのに
本当はただ眠っていたいのに
本当は…
八木隆充 1971年生まれ。デザイン、イラスト、写真も手がける歌って踊れる吟遊詩人。企画機関<PPP>幹事会員。 |