白い壁
八木隆充
目の前のただ真っ白な壁の前には
目を瞑ってそれを見つめる僕が居た
真っ白な壁に向かって
乾いた絵の具抱えたままで
ひび割れた絵筆握り締めて
佇むだけの僕が居た
目を瞑ったままの僕が泣いていた
真っ白な壁の向こうには
どんな景色が見えるんだろうって
真っ白な壁は塗り潰されて
やっぱり僕は佇んでいた
目を潰した僕が何か叫んでいた
真っ白な壁は何色だったんだろう?