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夢見の空

八木隆充


蒼に染まった空を見上げて 思い出すのはどんな夜か

シニカルな台詞に痛め付けられ それでも望むべき朝を探す者よ


煙草の煙りに憂いを込め 苦い唾液を飲み込んだ

音のないテレビを見つめたまま また煙草に火をつける


高く ただ空高く 堕ちて行く夢を見た

罪と罰を振りまきながら 空はまた雨を降らす


今日もただ過ぎて行った事実だけが 苛立ちと不安に時を染める

誰かを責める事で自分を守る 役立たずのプライドに足を取られる


いつの間にか理由を求め 探す事にも疲れた時に

身を委ねる深い闇に 現れた無垢な泣き顔 高く 


ただ空高く 手を伸ばす夢を見た

残されたかけらを掬って 空を切り裂いた流れ星


高く ただただ高く 嘘でも夢が醒めるなら

大して変わりないこのうつつの中で

雨の中もう一度 みっともなく叫ぶだろう


終われない者達の為に



八木隆充

1971年生まれ。デザイン、イラスト、写真も手がける歌って踊れる吟遊詩人。企画機関<PPP>幹事会員。