飼い主の急病

ある方が事故で突然亡くなりました。突然の飼い主さんのご不幸はとても痛ましいできごとです。しかしこれは他人事ではありません。いつ自分が事故や病気にまきこまれないか予測がつかないからです。インコ・オウムは長生きですから、飼い主のほうが先にこの世を去ることを考えておいても、おかしなことではありません。充分な時間の余裕があればその時に対処することも可能ですが、突然の事故、突然発症する重病で飼い主が意識不明になった場合、帰りを待つインコたちの身にも危険が及びます。このことを想定して対策を考えてみましょう。

ひとり暮らしの人の場合、まず突然の飼い主の不在にインコたちが生命を中断されないようにしなければいけません。まずはインコ・オウムを飼っていることを毎日会うような身近な複数の人に伝えておくことです。飼い主さんが万が一の時に、「たしかあそこの家には可愛がっていたインコが…」と思い出してもらえる確率が高くなります。また出先で突然意識を失った場合、病院、警察関係者などが身分証明書を探します。財布の中の免許証などと一緒に、「もしも私が意識不明の状態になった場合、自宅で留守番をしているペットの救出に協力してください。」というメモと友人・親戚の連絡先を記しておきます。臓器移植の意思表示カードをお持ちの方はそこに書き込んでおいてもよいでしょう。友人にはインコの救出の時に警察を呼んで家を開けてもらうよう打ち合わせておけばより安心です。

救出されたインコには、当面の世話と新しい飼い主探しの問題が発生します。当面の世話がすぐできるように、毎日の必要な餌・水のやりかた、保温のしかた、具合の悪いときのかかりつけ獣医などについて簡単なマニュアルをつくってケージのそばの目立つところに置いておくと発見者の助けになります。このマニュアルは旅行や出張などで、インコを預ける時にも役に立ちますのでつくっておいて損はないでしょう。

近所の友人・親戚がインコを最後まで飼い続けられるくらい動物好きなら問題ないのですが、そうでない場合は新しい飼い主探しをしてもらわなければなりません。クチコミ、地域の広報、動物関係雑誌、インターネット(掲示板、メーリングリスト)などの手段を考えておくか、信頼の置ける鳥飼いの友達をつくって、もしもの時はお互いに助け合おうねと協定を結んでおくのも有用かもしれません。それには自分も鳥飼いの友達から信頼されなければなりません。定期的に健康診断を受けさせることや、問題行動が少なく社交性に富むようにしつけておくことは、飼い主を失ったインコにとって有利にはたらくことでしょう。

家族がいる場合は、このような問題は比較的少ないように思います。ただし、自分だけがインコを可愛がっていて、家族がそれをうとましく思っているような状況もありうることでしょう。なかには、自分以外の家族は世話の仕方がまるでわからない、というケースもあるかもしれません。すぐには解決できないことも多いとは思いますが、インコが家族みんなから可愛がってもらえるように、日頃からがんばりましょう。円満な家庭があってこその、コンパニオン・パロットなのですから。

 

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