妊婦と鳥

  「妊娠したら鳥はダメ!」とはよく聞く話しですが、いまだにその根拠を説明されたことはありません。人のうわさとは逆に医学書や医師からの情報では鳥が胎児に悪い影響を与えるといったことはありません。どうも下記の病気の情報が誤って伝聞されているようです。

 人獣共通感染症で胎児に影響を与える可能性があるのはトキソプラズマ・ゴンディーという原虫(単細胞の動物)による先天性トキソプラズマ症です。感染源は猫の糞や、生の豚・鶏肉であって、飼い鳥ではありません。

 トキソプラズマ自体はポピュラーな原虫で、日本の成人の30%〜60%がすでに感染していると言われています。そのほとんどは症状が無い不顕性感染です。すでに感染したことのある女性が妊娠しても胎児に影響はありません。

 問題なのは今まで感染したことがない女性が妊娠中に初めて感染した場合で、流産したり胎児に障害が現れる可能性があります。妊娠している人でまだトキソプラズマに未感染の方は、放し飼いの猫や猫が集まる場所、不充分な調理の豚・鶏料理に気をつけましょう。
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