やっぱ4〜5月は、早起き・早でっぱするか!

 雪解けがここのところ一気に進み、下界は春の装いの今日この頃(今現在4/10)。でも下界が雪解けの時期=春山の全層雪崩の時期でもあります。樹林帯では4月中旬前後、森林限界より上では5月に入ってからが全層雪崩のピークかな?。

 山に行く時はなんともなかった斜面が、帰りに眺めると一面ずるっと滑っていたり、それどころか道路脇の斜面(法面と言います)ですら、山の帰り道見たら崩れていたとか。昨日の余市岳の帰りも、あっちこっち凄かった。春山の全層雪崩は、発生する前の雪面にクラックやしわが寄ったり、気温の低い午前中はリスクが低いなど、確かに厳冬期の新雪表層雪崩よりかは予測し易いかも知れないけど、決してあなどるなかれ。スコップでハンドテストしたって予知は出来ないし。


 雪が締まってきて天候も安定し始めるこの時期、行動範囲も一気に広がります。例えばラッセルが長くて敬遠していた、沢沿いのアプローチ林道や長いツアー尾根コースとか、吹かれたら一発の森林限界の稜線とかのように、厳冬期ではとても行けなかったエリアも気楽に行ける。

 また一方でこの頃は、雪付きの悪い尾根筋にブッシュが出始め、雪の豊富な沢形に滑走ルートを求めがちにもなるしね。ついでに厳冬期じゃ表層雪崩がとても怖くて敬遠していた沢の源頭にも、ついアタックしたくなる今日この頃。

 また雪が締まったのでつぼ足でも歩けるようになり、ハイカーがあまり冬山を意識せずに入山出来るようにもなる。”私は残雪歩きだけだから雪崩は大丈夫”なんて思っているハイカーの皆さん、人ごとではありませんよー。麓の林道の除雪も徐々に進んで奥に入れるようになってはいるけど、行きは車で通れた箇所が帰りふさがっているかも!。稜線だけでなくアプローチ林道だって侮れません。

 で、行動範囲や入山機会が広がった分、リスクも高いって訳。


 私は雪崩の専門家ではないので、詳しくは最新雪崩学入門等の専門書を読んで頂きたいですが、幾つか素人アドバイス。

1.暖気で緩んだ午後は要注意

     低温で雪が締まっている午前中はまだリスクは低くても、日差しが強まり気温が高くなる午後は要注意。また午前中でも、朝から生暖かい風が吹いている日は、午前中も侮れません。
2.雪面のクラックやしわには要注意。
     新雪表層雪崩と違って春の全層雪崩は、いきなり前触れもなく滑る事があまりないのがせめてもの救い。で、こんな痕跡があったら、暖気で雪が緩む時間帯は、”君子危うきに近寄らず”(でもクライミングだと、たとえ近寄りたくなくても、やむなく通過せざるを得ないってパターンも多いけど)。

     でも雪庇の崩落だけは前触れなく襲ってきますので、これは例外。沢コースや稜線を巻く時なんか、ご注意下さい。

3.発生箇所は毎年繰り返す。
     しょっちゅう山に入っていると、”毎年決まってここは春に全層滑っている”って場所があちこちにありますね。そのような箇所には近寄らないのが無難。色々他の山屋から過去の情報収集するのも必要ですね。

     このような常習箇所、特に山の南面や東面に多い。また植生が笹地だと、なおさら起こり易いみたい(笹地が滑るのでなだれて木が生えないのか?。はてまた全層雪崩が起こるから木が生えないで笹地になるのか?。にわとりと卵の堂々巡り)。


 春になって日の出も早くなった事だし、眠い目こすってやっぱ早起き・早でっぱ(出発)するか!、早起きの得意なADACHI氏・SAKAGUCHI氏を見習って。
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