![]() そこで、”雪崩の危険性は、私は十分理解している”と思っていたのですが、最新雪崩学入門を読んで初めて、今まで自分の知らないことが多かったことに気づきました。雪崩発生の詳しいメカニズムを知ると知らないとでは、またハンドテストを行うと行わないとでは、雪崩発生の予測能力に雲泥の差があることを実感しました。またその必要な知識・テストの積み重ねがあれば、必要以上に雪崩を警戒することもなく、かえって滑られる斜面のバリエーションも逆に増えました。 そのハンドテスト・シャベルテストをする上で必要となるスコップを、今シーズンから山に行く時は必携するようになりました。あっちこっちで、ちょっとでも積雪に不安を感じたら、即座にスコップを使えるよう、ザックの脇に縛り付けて置き、ちょくちょくハンドテスト等の経験を積むことで、前より判断の確実性が遙かに増したように感じます。 スコップを買いに登山店に行ったら、山用の軽量スコップは1万円近くとえらく高かったので、私の愛用しているこのスコップは、ホームセンターで880円で特売していたものを、長かった柄を鋸でちょんぎって使っています。多少重いですが、コストは10分の1。スコップの幅も20cm位と小さいですが、ザックの脇に結わえておくには、これくらいの幅でないと滑降時じゃまになります。 またこれを持つことで、ルートミス・天候急変・負傷等でやむなくビバークをする際も、これで雪洞を掘ることも出来るので、緊急時の備えにもなります(おまけにツエルトも常に携行しています)。特に私は単独行がほとんどなので、このザックの重さが逆に心強く感じます。 眺めのいい山頂での昼食時も、風が強くて寒いときには、風下側の斜面をちょっとスコップで掘り込んで、掘ったブロックを風上に一段だけ並べるだけでも、快適さが全然違いますので、一度お試し下さいませ。 この最新雪崩学入門の著者の一人である福沢君は、私の後輩にあたる人で、一緒に山に行ったことこそありませんが、幾度か会って面識がありました。気さくな好青年でした。5年前にミニヤコンカで亡くなり、残念ながらこれが彼の遺作となってしまいました。
|