いや、ワールドカップだよ。 ホームズ。 |
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まったくだな。 |
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写真入り絵皿? ワールドカップでもらえるのは ワールドカップのトロフィー じゃないのかい? |
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はー。 |
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嫌だ! | |||
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あの、そろそろよろしいでしょうか。 | |||
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ヘンリー・バスカヴィル卿の 執事だよ、 前回のことをもう忘れたのかい? |
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そんなことでは この話自体成立しないよ。 |
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ええ、あなたが話を 聞いてくれないうちに。 |
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はい、レストレード君でーす。 あのですねえ、バスカヴィル家には 一つ奇怪な伝説があったのですよ。 当主になったものは犬にかみ殺されると言う…。 |
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そうなんですよ。 で、例によって三年前に先代がかみ殺されまして、 後を継いだのがヘンリー・バスカヴィル卿なんです。 |
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一週間前に何が起こったんですか? | |||
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ヘンリー・バスカヴィル卿あてに 恐ろしい脅迫状が届いたのです。 「一週間後の満月の夜、 お前にもバスカヴィルの呪いが 降りかかるであろう…。 」 |
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やかましい! | |||
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ふーむ、 やっぱり犬に食い殺されたのかい? |
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ああっ… ヘンリー・バスカヴィル卿は 喉笛を食い破られて見るも無残な… うう…。 |
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それだけならまだしも さらにもう一つの喉笛と 左足の喉笛と 最後の喉笛まで。 |
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そんなことを言ってる場合じゃないだろう。 ヘンリー・バスカヴィル卿は 脅迫状どおり犬に食い殺されたんだよ。 ホームズ、これはただの伝説だけとは 言い切れないよ! |
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ありがとうございます。 ホームズさん。 |
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あのう、それは依頼料とは…。 | |||
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それじゃさっそく行きましょう。
あ、執事さん、 我々警察も同行いたしますので あと12人分お願いしますよ、列車と宿舎の手配。 |
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それは仕方ないさ。 そもそも名誉革命以降 貴族階級はジェントリー(郷紳)層の 発達に世って徐々に勢力を抑えられていく運命なのだよ。 近代的資本家に転身していかなかった貴族や領主は 国家によって収奪される存在に過ぎないのさ。 |
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なんだとこのヒゲ。 | |||
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とたとたとた。 ホームズさんホームズさん、 お出かけですか? ホームズさんホームズさん。 |
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……。 | |||
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ああ、そうだね。 じゃあにぎりパンを6つほど 作ってもらおうか。 |
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そうだよ、行楽の弁当は 握りパンに決まっているじゃないか! |
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当たり前じゃないか! |
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…レストレード君、君は食った事あるのかね。 |
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ほうら見たまえっ! 伝統的でトラディショナルな イギリス人は、行楽には握りパンだ! 君のほうがどうかしている! |
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まったくもって君の常識はずれには 恐れ入るよ。 イギリス各地をまわったことで高名な ネイキッド・ジェネラルこと マウントアンダー将軍の伝説も 知らないようだね。 彼の好物も握りパンだったのだよ! |
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まったく持って君は |
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なにいッ!? | |||
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おお、ごくろうさま、ハドスン夫人。 …これはまたよく握ったねえ…。 |
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そ、そうですか。 じゃ、じゃあ遠慮なく… …ガリ… …ガリ… …ガリ… |
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…………………………………… …まずいねえ………………………。 |