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ホームズ、列車に乗っていることを表すために |
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いいかげんにしてくれないか。 他の乗客がものすごく奇異な目で 見ているじゃないか。 |
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やめろっ!! |
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そ、そうなのかい? じゃあいったい何のためにがたんごとん 言っているんだい? |
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ほ、本当ですか、ホームズさん。 そのがたんごとんというのが ヘンリー・バスカヴィル卿の死と 何か関わりがあるのですか? |
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ああ、僕にはもうだいたいの 事件の概要がつかめているんだ。 いわばがたんごとんは その確認の作業さ。 |
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それはかつて古代中国、春秋時代、 呉王の闔盧が越王の勾践に… |
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早いよ。ここにいるみんなが君のように 古代中国マニアや日清戦争後の三国干渉に 憤慨する民衆マニアじゃないんだ。 臥薪嘗胆が「がしんしょうたん」と読めることや その意味や時代背景をきっちり説明して つっこむのが妥当というものじゃないかい? |
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それにがたんごとんが |
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さあ、この責任をいったいどうとってくれるんだい? ワ・ト・ス・ン君? |
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はっはっは、すまないワトスン君。 いや、何も僕は君を責めるつもりで こんなことを言ったわけじゃないんだ。 ただこれからは慎重に物事に ふれてほしい。ただそれだけなんだよ。 だからそれだけを心にとめておいてくれれば いいんだ。 |
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そうかい。じゃあこの臥薪嘗胆ガムを 知っているかい?石油などの化学原料は 使っていないとても自然にやさしいガムなんだ。 いい製品だろう? で、これを買うにはまずこの会の会員になってもらって 年にたった5ポンドの会費を支払うだけで・…。 |
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どーもーっ! レストレード警部でーっす! |
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駅弁の羊弁当おいしかったですよー。 | |||
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くちゃくちゃくちゃ。 うわー!すっごく苦いですねー! |
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しかしまあなんだね、執事君。 バスカヴィル卿の屋敷まではまだかね。 いいかげん列車の旅にも飽きてきた ところなんだが。 |
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ああーもうヒマだヒマだヒマだ ヒマだー! |
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持ってきたんだがね。 見つからないんだよ。 |
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いや、この座席に座るまでは 確かにあったんだよ。 それが座ってからはぜんぜん見つからないし。 |
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…いや、それが下を見るわけにも
いかないんだよ。 |
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いや、僕は高所恐怖症でねえ…。 | |||
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じゃあ…君が見てくれ…。 | |||
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とたとたとた。 ホームズさんホームズさん、 お出かけですか? ホームズさんホームズさん。 |
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それはそれはこわいことですねえ。 | |||
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…仕方ないだろうワトスン君…。 |
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…そんな馬鹿な…。 だってバスカヴィル家の執事さんが 最高級の列車のチケットを 用意してくれたんだよ…。 最高級の列車が老朽化なんて そんな…。 |
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…… |
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きいいいいいいいいっ!! |
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嘘!私は、私は… うわああああああああああっ!! |
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でも座席の下に穴があいていたのでは 危なくて仕方ないですね。 |
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何かないかな…。 |
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では持ってきた この本でふさぐことにしよう。 |
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ああ… ヒマだヒマだ… ワトスン君、何かないかね…。 |
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