代償

 特技データに存在する項目のうち、代償とかかれたところは、 その特技を使用したときに支払う代償の事です。特技を複数使用した場合、 代償は累積し、判定が成功したときにまとめて支払います。もし、代償を支払う事が不可能な場合、 判定は失敗となります。また、代償は判定ごとに支払います。

<支払うタイミング>

 代償を支払うタイミングは、判定が成功した直後です。 通常は処理の流れ的に全ての効果を適用した後、代償を支払う事がほとんどです。 ただし、流れ的に適用した後、と言うだけで本来は、判定が成功した直後に支払っている、 と言う事を念頭に置いておきましょう。

<代償の対象>

 代償は、基本的に使用した本人のみに適用されます。 また、この代償を特技などにより移動させる事は出来ません。

例:
 【HP】への代償を、≪命の絆≫などにより移動させる事は出来ない。 ただし、別のキャラクターから回復してもらったり、奇跡による回復、 或いは、異なる行動タイミングで自分自身を回復させる事は可能。

 元々、代償は特技を使用した事に対する代償です。 よって、特技を使用していない者が、代償を肩代わりする事は不可能です。 もしこの代償を∵拡大∵するのであれば、それは代償を支払った、 すなわち、特技の成功による代償を強制的に支払わされたと言う事になり、 同時に、∵拡大∵の対象となった者は、元となった者が使用した特技を 強制的に使用させられる事になります。

<代償Rを∵拡大∵>

 さて、GF誌上において、この組み合わせが紹介されたと聞きました。 が、この組み合わせに関しては疑問をもたざるを得ません。

 各PCに渡される[鎖]は三枚。これはキャラクターの所有するアルカナと同じ数です。 つまり、流動性のある、そのアクトにおいての各PCの過去、現在、未来を示しています。 代償Rの特技は、自分にまとわりつく良い運命を、闇に染めなければならないほど厳しく、 それだけ強力である事を示します。世界観的には、全ての生命は一度闇に染まっており、 その自分の内に存在する闇の力を使うため、[鎖]が闇になる。或いは、他の人間にまとわりついた闇を 代わりに引き受けるため、[鎖]が闇になるものです。

 代償Rは結果だけを見れば、[鎖]が逆位置になったに過ぎません。 しかし、[鎖]が逆位置になるのは[殺戮者]の特技により、強制的に逆位置にさせられた訳ではなく、 あくまでも特技を使用した事に対する代償であって、その行為自体には対象は存在しません。 [悪徳]を、無理やり見せつけるような攻撃を∵拡大∵するのであればまだしも、 対象そのものが存在しない代償を、∵拡大∵するのは不可能でしょう。

 無論、この考え方はルールに縛られた考え方です。奇跡は、奇跡のイメージに合うのであれば、 そして、それをGMが望むのであれば、認めないわけにはいきません。 ただし、代償を∵拡大∵する事が斬新か? と言われれば、疑問であり、直感的に不可能だろうと思ってしまいます。 本来奇跡は自由にデザインする事が可能です。ルールブックに書かれている事は、所詮戦闘時のものと、 代表的なイメージに過ぎません。対して、上記の代償の∵拡大∵は、中途半端な拡大解釈で、ルール的にもイメージ的にも 非常に中途半端な印象を与えられます。そして何よりも…

 何よりも、ユーザー側からの反応が「オフィシャルの発表にあった」 だけで片付けられてしまう危険性があります。この手の反応はパターン化を産み、 パターン化してしまった物は必ず衰退を始めます。すなわち、 ユーザー自身の手により、ユーザーの愛するゲームを廃れさせる原因ともなります。 そして、その原因の一つを、システムを提供しているオフィシャル側から発表があったこと…  このシステムの自殺とも取れる行為を見過ごす事は出来ません。

 解釈の複雑な、特技などに対する発表であればまだしも、奇跡の新しい使い方として発表された物は、 所詮一例に過ぎません。参考程度に止めるべきです。