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SSSでは省かれがちですが、全PCのオープニングにおいて必ず因縁と自分、
そしてシナリオの核となる事件との関わりについて解るようシーンを組みましょう。
最もやってはいけない行為は、因縁を渡して、それだけでシナリオに挑む。
因果律を渡してそれだけでシナリオに挑むという行為です。因果律を持ってるんだからこう動いてくれるだろう、
という予想は、その因果律がどういう因果律かを解ってる人向けです。また、その人によって考え方は異なります。
あなたと同じ解釈でキャラを作るとは限りません。また、因縁にしてもそうです。目の前に慕情のキャラ、幼子のキャラがいる。
だからどうした。過去慕情であれば、今は会いたくない人の一人かもしれません。慕情の因縁だから友好的に接するだろうというのは、
GM(シナリオ作成)サイドの大きな勘違いであり、慕情だから友好的に接しろとは傲慢です。
特に、因縁はシナリオのキモとなりうる部分です。ブレカナのように人間模様を描くゲームでは宴よりも大切といえるでしょう。
故に、おろそかにしてはいけません。因縁と事件とPCとのつながりが明確にならない、ドラマティックではないシナリオは駄作です。
因縁があり、その因縁のおかげで事件に巻き込まれてしまっているからこそPCは解決に向かって動くのです。
オープニングのシーンは二回行う事がベターでしょう。一回目は因縁とPCとの関係について。どのような関係であったか。
どのようにして分かれたか? 二回目は、その因縁との再会。望む形か望まざる形か。目の前に現れるだけが再会とは限りません。
以下に簡単な例を用意します。シナリオ作成時の参考にして下さい。
因縁 | 例 |
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因縁 | 例 |
自身 | 最も無難なのは双子の片割れでしょう。幼少時に過ごした思い出などをオープニングに持ってくると良いかもしれません。 あるいは前世の記憶を共有している相手なども面白いでしょう。 |
師匠 | 相手はどのような事をあなたに教え、どのような性格だったか。厳しい人だったのか、やさしい人だったのか? どのようなものを研究し、その成果はどんなものだったか? どんな時に怒られて、どんな時に褒められたか? |
秘密 | 些細な事かもしれないし、洒落にならない事かもしれない。オープニングでは、二人(あるいは複数)が、 その秘密を共有するところを行うべきでしょう。 |
幼子 | 幼子と言われてピンと来る人はそういないけど良く使われる因縁。誰かに紹介を受けて、 PC助けて! っていうシーンをやって実際に助けさせる事。守ったという実感が必要です。 |
貸し | 実際に物を貸し借りしたり、命の危機を助けてもらったりするシーンを造るべきです。 オープニングで渡す因縁としては不適切かもしれません。シナリオ一つ使って因縁を渡すのもありでしょう。 |
遺言 | 実際に大切な人が死に、その遺言を残すシーンを作ると良いでしょう。これもシナリオ一つ使う事が望ましいといえます。 |
友人 | 遊んだ日々、小さい頃の思い出等。どこにでも使えるので無難では有ります。 |
主人 | 主従関係を結んだシーンや、袂を分かったシーン、あるいは残酷な別れなどをオープニングに持ってくると良いでしょう。 |
闘争 | 戦わなければいけない理由を演出すると良いでしょう。なぜ闘争の因縁相手と戦わなければいけないのか? そこが明確でなければPLもやりにくいでしょう。 |
道連れ | あまり適切な因縁とはいえません。たまたま相部屋だったとか、そんなシーンが無難でしょうか… |
恩人 | どのような恩があるのかはっきりさせておきましょう。どうしても解決できなかった難問を解決してくれたとか、 金銭的なものでも構いません。恩を感じるほど絶望的なところを上手く表現してください。 |
告発 | 捕まえるシーンなど色々ありますが、オープニングに適しているとはいえないでしょう。 |
兄弟 | 兄弟同然に育った分けですが、今でも友好的な関係とは限りません。裏切られたのかもしれません。 兄弟だったシーンよりも、兄弟だったからこそ印象に残ったシーンを用意してあげてください。 |
喪失 | これはオープニングには適していません。この因縁を渡した場合は、因縁のオープニングを用意せず、 シナリオ途中でちょろちょろ出させると良いでしょう。 |
保護者 | 実際に保護してもらっていたシーンを用意してあげると良いでしょう。 物理的に守られたのか、金銭的に守られたのか、ともかくそのおかげで今生きているというシーンですね |
裏切り | 裏切られた瞬間などを用意してあげてください。オープニングが無ければ引き立たない因縁です。 |
故郷 | どのようにして分かれたのか。故郷はどんなところだったのかを明確にしてあげてください。 また、同郷だからといって友好的な関係とは限りません。もしかしたら彼によって故郷を追われたのかもしれません。 |
同志 | 同志であったということは、お互い何かを成し遂げたという事です。ですので、その何かを成し遂げたシーンを演出してください。 それが成就したか、失敗したかも大切な要素になります。 |
借り | 実際に借りを作るシーンが必要です。オープニングよりもシナリオ一つ消費した方が良いでしょう。 |
慕情 | 過去慕情という事は、片思いであったか、フられたか、元恋人か。実際のところあまりよくない因縁です。 どのように慕っていて、どのように成就しなかったかを明確にすると良いでしょう。 |
断罪 | どのような罪に問われたのか? そこを明確にしてあげるべきでしょう。シナリオを一つ消費するのも良いかもしれません |
仇敵 | どのようにして大切な人が殺されたのか? という事もハッキリしておくべきでしょう。 そして、仇敵とはいえ圧倒的な力の差に服従し、現在は主人である事もありえます。 友好的とはいえませんが敵対しているともいえないことに注意してください。 |
シナリオ時に因縁を渡す種類として、どの時間軸が適切か?
基本的には過去であるべきでしょう。人に歴史あり。過去があり、
時間と共に考え方、経験が他者と交わり、なんらかの事件を起こすのです。
基本的にブレカナは過去の出来事の生産をしていくゲームですので、そこから考えても過去の因縁が無難でしょう。
次に現在の因縁ですが、これはキャラ設定次第といえるでしょう。人によっては現在の因縁でこれは絶対外せないというものがあります。
しかも現在の因縁は一つしかもてません。それを考えれば現在の因縁は、下手をすると人のキャラ設定をこちらの都合で勝手に変えることにつながり、
PLに対してはあまりよろしく無いと言えるでしょう。
最後に未来の因縁ですが、これは最もよろしく無い因縁です。というのも、PLに対してお約束を強制するものだからです。
お約束がわかるPLであればそれもいいでしょうが、世の中そんな人ばかりではありません。なによりもそのお約束を入れる事で、
シナリオの出来を下げる事になりかねません。それだけではく、お約束をしなければ先に進みづらいこともあるでしょう。
キャラ作成時の未来は仕方ないとしても、GMサイドで人の未来を勝手に決めるのもいかがなものかと思います。
シナリオをスムーズに進めるための因縁であるはずです。そして、何故オープニングが重要か? という所も良く考えてください。
人は体験して見なければ解らないことがたくさんあります。
しかし、TRPGはその傾向として「解ってくれているはず」という自分勝手な期待を前提にシナリオが組まれていきます。
シナリオが失敗する原因のほぼ全てはここに有ります。
十人十色であり、その因縁に対してあなたと同じ考え方をしてくれる人は極少数である可能性が高いという事をまず理解しましょう。
だから、こういう因縁なんだよ、という事をしっかりと提示して、PLにPCに期待することを明確にしてあげましょう。
行うべき事を行わないでシナリオが迷走した場合、悪いのは他の誰でもなくあなたのGMとしての腕前が下手なんです。
特にSSSばかりやっている人は注意してください。
SSSはGMがしゃべり倒し、PLの参加する余地が少ない作りになっています。
GMの役割は朗読をする人じゃない。PLはGMの朗読を聞いて喜ぶ保育園の子供達じゃない。
誰にでもできるシナリオという事は、技術を必要とせず、すなわちGMの腕前を落とす要因になりうるという事です。
GMの腕前が落ちるということは、TRPGが楽しくなくなり、ただつまんない時間を過ごすだけになります。
楽しく遊ぶためにTRPGをやっているはずなのに、それでは全くもって意味が無い。
故に、SSSのようにオープニングをPC人数分用意しなかったり、因縁をただチットなどという紙切れを渡すだけにせず、
しっかりとオープニングを演出し、因縁とPCの関係がシナリオにとって必要である事をPLに明確にしてあげてください。
解りやすくするという事は、簡略するという事ではありません。
「自分の理解している事は相手も理解している」という所をとにかく先ず捨ててください。特にGMをやる際には。
勝手な期待はシナリオを迷走させる元です。モチベーションが上がらないのはPLが下手なのではなく、
やるべき事を明確にしていないからです。
GMに対してある程度協力的である必要はあるでしょう。が、最も大切にするべきなのは自身のキャラ設定であり、
そのキャラであればその因縁に対してこういう反応をする、という部分を曲げない事です。
GM側でこの様にして欲しい、というアプローチをしっかりと行ってきたのであればキャラ設定にしたがって、
喜んで協力してあげるとGMも喜びます。しかし、ただ紙切れを渡すだけであれば、GMに対して協力的である必要は無いでしょう。
それはPCに何をするべきか、という目的をはっきりとさせなかったGMの責任です。
依頼を断っても全く問題はありません。
それは「依頼を断れる余地」を与えたGMが悪いんです。「依頼は引き受けるもの」という勝手な期待を抱いたGMが悪いんです。
キャラ設定にそぐわないのであれば、断りましょう。断った事でシナリオがとまるのであれば、それは「断られた先」を用意していないGMが悪いんです。
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