CKD-Praga AH-IV-Hb tankette 1/35                                                                                      
 スロバキアのメーカー「I..R.hobby」の「AH-IV-Hb」です。マムートさんの通販で購入。信じられない!実車もキットも存在自体がスットコドッコイなドマイナータンケッテが今こうして手元に有るのだ!。

 「AH-IV,シリーズ」はイラン型50両、ルーマニア型35両、スエーデン型48両が1936年と37年にCKDプラガ社で量産されている。チェコ産らしくそれぞれの国のオーダーに従って仕様が異なっていた。

 さて、問題の「AH-IV-Hb」はというと・・・国はエチオピア。数は20両。そして作られたのが、何と大戦後の1949年と50年!・・・13年後の「再販」であった。特徴は車体が溶接で組まれリベットが少ない事、エンジンがタトラ製空冷ディーゼルに換装されている事。

 ・・・と、偉そうに書いているが、私自信はルーマニアR-1(AH-IV-R)のキット化を望んでいたので、この新製品情報を聞いた時、「その仲間だな。」程度の認識で即注文。その後、実は戦後型だと発覚して唖然としたという・・・。
 幅142ミリの小箱には、細部まで作りこまれた完成見本の写真が張られている。(上の写真) これを見ると、「おお。エッチングも入っているのか!?」と思うのが人情だが、実際は細部は金属線で自作せよと説明書に図入りで書いてあった。

 写真でもう一つ目を引いたのは、カラフルなマーキング。これは嬉しい事にデカールが入っている。でも、砲塔の左側にマークは無いの?

 左の写真は車体部品。上部が三分割なのは上手いやり方だ。シリコン型を簡単に作れ、失敗が少なく、変形を少なく出来る。実際、平面は平面、直線は直線となっていて歪みは皆無、気泡も無い非常に素晴らしい抜きである。組み上がったときはインジェクションと同等のカッチリした仕上がりに成ると思う。

 原型師は繊細な人らしく、綺麗だが、塗料で埋まりそうな細く浅い筋彫りが印象的。私が作る時は深く掘り直そうと思うが。
 全体に「非常に精度が高いが、手作り品」の印象がある。普通我々ならば、本体にモールドする蝶番等は、原型を作って型取り流用するし、リベットは他キットから剥ぎ取って接着する。しかし、このキットは同じモールドでも、その都度一個ずつ自作している。スロバキアの原型師には、シリコンやポリパテは入手困難なのだろうか。個人的にはこの雰囲気でもOKなのだが、基本形がキッチリしているだけに、出来の良いプラキットをヘタにディテールアップしたような不自然さが若干ある。

 しかし、上記の事は、「あえてアラ探しすると」といったレベルなので、その事で購入を止めるような重大問題では無い。
 どの写真も色合いが違って御免。ちなみに実物は黄色みのあるアイボリーで、このページの背景色に近い。

 中央が転輪。このキットで一番印象が良くないと思うパーツ。実車は38(t)に似た中央が膨らんだディッシュタイプ。
 ただ、このエチオピア型ではハブキャップは無いので、多少平面的に見えるのだが、それでも平ら過ぎる。また、リムの出っ張りが再現されていないのも非常にイタイ。どうもプラ板で作った感じで旋盤やモーターツールを原型師は持っていない様だ。非常に残念。個人的に自作してみたいパーツ。誰か買う人いる?(笑) ハブキャップが無いので他のAH-IVシリーズに使えない頭の痛い部品ではあるけれど・・・。

 キャタピラは4リンク繋がった物だけがセットされている。起動輪や誘導輪には熱して巻き付ける事に成りそう。形状自体は少し似ていないが、実車写真を見るとその訳が理解出来なくも無い。仕方ない気がする。
 結論
 総じて大きな問題点は無い。むしろ予想を大きく上回る良いキットであった。作りやすくて、品質も良い部類だと思う。
 もしあなたが、このマイナーアイテムが好みで、全長9センチ程の豆タンクに「8000円出して良い。」という物好きであれば、お勧めしておきたいキットである。高くてもマトモな完成品にならないキットが有る中で、カッチリ完成出来る(・・・と思われる)キットは魅力的である。

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