サビ車-15

小松60式3トン雪上車
Type60 Medium Snow-vehicle
 これを見つけたときビックリしましたわ!藪からヌッと「ダルマ」ジープを情けなくした様な顔で見つめているんだから・・・。しかも、よく見ると足回りは全装軌!畑の端で力尽きた感じの「たたずまい」も切なげで妙に可愛いです。

 さて、春先のヌルヌル地面を歩いて近づき、ダッシュパネルの銘板を見て初めて「小松60式3トン雪上車」なる車両であることが分かりました。世間的にもマイナーなのか、ネット上に数ある自衛隊系サイトで探しても写真は見あたりませんでした。(どこも最近の駐屯地祭の写真ばかりだから仕方ないか・・・。あぁ!!良く考えたら駐屯地の保存展示車両にも無いって事か?)う〜む。旧軍車両の様に消え去る運命にあるのでしょうか。

 生産数は、昭和36〜52年に409両。意外と多いような気がします。生産は小松と大原で分担していたそうです。後にKC40という民間型も74両作られましたが、これは大原鉄工が生産したそうです。小松はその頃には雪上車から撤退し、国産雪上車メーカーは大原だけになっていました。また、お偉いさんは「正式採用まで待ってられん!」って事でしょうか、60式が生産になる前の3年間に58式という先行量産型(?)が64両作られ、陸幕、空幕で使われたそうです。最初の試作車は「53式」だから結構開発に時間がかかってますね。

 この個体は民間型KC40ではなく「小松が生産した自衛隊物」である事が銘板から分かります。払い下げ車両なんですね。当時は多分、馬橇の時代でもないし、除雪も不十分だったろうし、冬の農村の物資輸送は大変だったと想像します。意外と平野部で古い雪上車(廃車)を見かけるのはそういう理由なのでしょうか。

付けたし
 大原鉄工所のHPによると、大原が「53式」の開発を行った事が書かれてます。しかし、60式の民間型の名称がKC40である事を考えると、大原「SM(ふぶき)」系より、小松「KC(ぎんれい)」系に近い様に思います。技本(防衛庁)と当時の雪上車メーカー2社の合作と言った方が正確かもしれませんね。小松の場合は、雪上車開発を池貝自動車から引き継ぎ、市販したのはKC-20系だけ、企業規模から見て雪上車は多数の商品の一つにすぎない・・・その為か、あまり「自画自賛」していないのが残念です。

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