サビ車-23

三ツ瀬・オールファーマーズ・トラクター
MITSUSE ALLFARMERS TRACTOR

 断定的に「謎の」と言って良い小規模メーカー「三ツ瀬精機・オールファーマーズ」のトラクター。

 トラクターの大半が輸入品で非常に高価だった当時、少数ながら町工場に毛の生えた程度の小規模メーカーが日本にも存在したらしい。だが、国産大手が手広くトラクターを生産し始めると太刀打ち出来ずに人知れず消えていった。このオールファーマーズはそんな顧みられる事のないメーカーの代表的存在だろう。

 資料がとても少なく、何時、どれくらい作ったのかも(私は)サッパリ分からないが、記憶に有るオールファーマーズの写真は、カウルと埋め込まれた1つ目ライトが印象的なデザインだった。この個体にもカウルが有ったのかも知れないし型式が違うだけなのかもしれない。何れにしろ、この状態では「ALL FARMERS TRACTOR」銘板が無ければメーカーを判別する術は無かっただったろう。

 ・・・もっとも、その銘板自体が手作り風のプアな鋳造部品で怪しいのだが(笑)

 フレームは小規模メーカーらしく、同サイズのアングル材だけを溶接で組んだ様な簡単な梯子構造。その前半一段高い位置にボルト留めされた小フレームが置かれエンジンマウント部になっている。このままでも各種エンジンに対応出来そうだが、手持ちの農発を無理矢理載せる様な場合はマウント自体を換えられるようにボルト留めにしているのだろう。

 エンジン以降の駆動系は流石に鋳鉄部品だが、他社からの流用品が含まれてそうな気がする。ただ、国産トラクターでは非常に珍しい床フロアがある構造の為、駆動系のディテール自体はよく見えなかった。

続報 戦後の国産トラクター。最初から5番目まで。

 帯広の某中古農業機械屋さん(?)にて撮影。ここはクラッシック・トラクターがずらり並んで「展示」され、これらは売る気は無いようである。質、量で、土の館に次ぐ国内2番目のトラクター博物館といえそうだ。

 そのラインナップは、戦後もっとも早く、もっとも多くの輸入モデルが普及した十勝で使用された物ばかり。地元文化までも感じられる素敵なコレクションになっている。その為に大半が土の館と重複するが、それも好ましいと思えた。つまり双方とも、個体のヒストリーを無視してバブル時にかき集めた高級車コレクションの類じゃないという事だ。

 そこに例外的に幾つかあった国産トラクターの1台がコレ。恐らく一番安物で一番レアな存在だろう(笑)

2009.05.08

 オールファーマーズの前には、この魅力的なデザインのシバウラAT-5が。土の館にあるタイプがモデルチェンジしてこんな洗練された姿になったよう。左にイセキTC10の残骸が2台、右にランツブルドックとオールドック。泣けるラインナップだ!

こんな感じでずらりと・・・

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