メーカー自ら“誘惑お姉さんADV”と真っ向から姉ゲーを主張する本作品。
隣に住む世話焼き大好きお姉さん、居候の従姉のお姉さん、学校の先生、1年上の双子の姉妹。
登場する女性が全て年上と、全姉連としても大注目でした。
<総評>
確かに年上ばかりだったけども!
お姉ちゃんっぽく振る舞ってくれたのは風花お姉ちゃんだけで、他は年上であることがあまり強調されておらず、姉ゲーとしては物足りなかった…
つばさ、理緒先生は、頑張れば年上の味が感じられましたが、一般的にはきついかな。
それなのに、このゲームに姉ゲーを求めるのであれば風花お姉ちゃん以外のシナリオを進めた方が良いという逆説的な結論(後述)。
年上ばかり集めれば姉ゲーと評価されるものでもないところに、姉の難しさがあります。
姉ばかりに固執しない軽めの姉属性の人なら、そこそこ楽しめるゲームでしょう。
(本来のターゲットはそのあたりなのかも。)
エッチシーンも多いですから、そちらを重視の人ならコストパフォーマンスも良いですね。
定価5000円の価格設定は素直に評価。安くあげるために質を落としたって感じもしませんでした。
<キャラクター評>
順序は、一般的な紹介順です。
・岬 風花
隣に住む世話焼きお姉さん。母は死別、父は仕事で別住まいの主人公にとって、保護者代わり。
毎朝起こしに来てくれたり、あたたかい食事を作ってくれたり。ほんの少し、天然気味。
すぐ照れたり、すねたり、あわてたり。見ていてとても分かりやすいお姉さんでした。
言動や行動が、これまでの姉ゲーにおける偉姉(=偉人の姉)の流れをくみ、
「たーくん(主人公)がきちんとした女の子と、清く正しくお付き合いしないと…」
というような感じで、ダダ甘系に属するでしょう。
(個人的には、かなりMarronのゲームの影響を受けているのでは?と思いました。)
しかし残念なのは、このお姉ちゃんと仲良くなるにつれて、主人公が「姉と弟」の関係を脱して「男と女」の関係を求め始めてしまうこと。
一般にはそのシナリオの方が自然なのだろうとは思いますが、全姉連的にはこれは命取り。
お姉ちゃんが姉という立場を捨て去ったら、ただの人ですよ?
結ばれて、想いを達してもなお「姉と弟」の関係が抜けきれないところに、我ら姉属性は魅了されるのです!
特にお姉さんジャンルを標榜するゲームなら、これは絶対に落としてはいけない点です。
その意味で、風花シナリオは及第点をあげられません。
でも、風花お姉ちゃんは、このゲーム一番のお気に入り。そして一番の姉です。
それは、他のキャラクターのシナリオではずっと姉っぷりを発揮し続けるから。
主人公が思い悩むことがあれば、そっと距離を置きながらも絶えず見守りつづけてくれるような、そんな姉なのです。
お陰で、ゲーム全体の端々で楽しむことができました。
>でもね
>今日は大学はお休みだけど、たーくんのお姉さんのお休みじゃないんだよ
>寝てるときも起きてるときも、わたしはたーくんのお姉さんなんだから
・新庄 つばさ
シェフの仕事のために転がり込んできた居候の従姉。
家では呑んでばかりだし、主人公をからかうことが酒の肴代わりな、どちらかといえばボーイッシュタイプ。
総裁、このタイプもかなりお好きです。(笑)
年上らしいことを言ってくれちゃったり、きちんと大人であることをわきまえてたりする点が姉的に好印象なのですが、パンチ不足。
もっと引っ張ってくれるような強気な面があれば良かったかなぁ。
・猪俣 理緒
学校の担任の先生。ナイスバディ+ぴっちりスーツ+ネクタイと、上から下まで年上属性装備。
「バイセクシャルなロリ&ショタ」との言葉通り、生徒に次々手を出す先生です。
人気のない図書室で、小動物を追いつめたライオンよろしく迫ってくる様は、定番ながらもやはり年上萌えの醍醐味。
誘惑されたり命令されたりのエッチ担当。
大がかりなシナリオではないけれども、先生と生徒の垣根をどう越えるかは、お約束のテーマとしてありました。
最後、年上・年下関係があまり見えなくなってしまったので、今一歩。
・阿久沢 美空
1年上の先輩。七海とは双子で、姉。
深窓の令嬢風メガネっ娘。もちろん言動もおっとり。
リアクションの少ないキャラで姉を表現しようとすると、ベタなくらいのイベントをいくつも投入すべきだと思うのですが…少ない。
通常の会話も特に先輩っぽさが足りないので、これなら同級生でも通じてしまう。
妹の七海との関係で、姉を表現しようとするところが見られるのですが、かなり難しいと思うし、成功もしていないし。
七海シナリオ同様、テーマの面で姉ゲーに含ませるのは無理があったと思います。
・阿久沢 七海
美空と双子で、妹の方。
姉を心底愛していて、姉に近づく者は全てに天誅を下そうと構える武闘派。
性格はかなり素直じゃなく、主人公にも突っかかってばかり。全般において相当疎ましく思えます。
ツンデレ系だと思ったので、仲良くなればデレデレできるかと思ったら違いました。
姉と妹と、そこに割って入った主人公と。イレギュラーな三角関係がテーマだったので、年上として構ってもらえませんでした。
何も“誘惑お姉さんADV”でそれを扱わなくても… 別のゲームで出来るネタなのに。
全くデレデレできないわけではないので、最後まで頑張ってみるのも良いですが。
<さいごに>
最後までプレイして気付いたこと。
このゲームは、風花以外のキャラの攻略時、常に見守り、支えてくれる風花お姉ちゃんに萌える姉ゲーだということ。
この点だけでも何とか姉ゲーとして繋ぎ止められている感じがしました。
お姉さんに焦点を当ててくれたゲームを出してくれた所は、それだけでも感謝します。(よほど勘違いしてるか、酷くない限りは)
しかし、姉萌え心をくすぐり、燃えたぎらせるようなゲームはまだ少ないのが実情。
「ちょこれ〜とDays」も、もっと頑張って欲しかったですね。
だったらどうすればいいんだ!と問われても答えに困るのですが、いいんです。
ボクら弟はワガママが許される立場なんですから!
姉ゲーの方法論は、妹ゲーのそれと比べて未確立の部分が多いと思うので、さらなる発展を祈るのみです。