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 介護保険制度4月実施の中止を求める緊急署名の提出に際しての声明

                ストップ介護保険 杉並10万人署名運動 

 私たちは、本日、介護保険制度4月実施の中止を求める内閣総理大臣・厚生大臣・大蔵大臣・自治大臣宛の緊急署名4139筆を厚生大臣に提出するにあたって、以下の通り訴えるものです。

1. 制度の根幹である認定のしくみは、そのデタラメさゆえに、完全に崩れはじめています。

 4月の介護保険制度実施をめぐり、全国民的な不安と批判がわき上がっているのは周知の通りです。すでに昨年10月から要介護認定の手続きが開始されていますが、そもそも、この介護保険制度のおおもとにある認定の仕組みがデタラメきわまりないものであることは、新聞報道でも明らかであり、私たちに寄せられる杉並区民の声でももっとも批判が集中しているところです。
 もともと法律制定時点でも明らかにされず、突然に打ち出されたコンピューターソフトによる第一次判定とわずか数分間の認定審査会で、24時間365日いっしょに生活してみないとわからないような切実な介護の必要性とその程度を数値であらわすことに根本から問題があります。しかも、幾度ものモデル事業を経て認定ソフトの恣意性・デタラメさが明るみにでて、幾度もの「修正」をしたうえで、なお、はなはだしい間違いと介護を必要とする実体との隔たりが多くの自治体で指摘されています。我孫子市や栃木県塩谷町や筑豊飯塚市をはじめ多くの自治体が、国の統一基準を否定し、独自の認定基準を打ち出した事実、武蔵野市がモデル事業の時点と比較して国が認定の基準を1ないし2ランク落としていると批判している事実は、きわめて重大です。厚生省や認定ソフト作成者自身が、予測とは大幅に、第二次判定結果が違っていることを自認しています。制度の根幹のしくみである認定が、恣意的でデタラメであるとの批判が、ここまで噴出しているという一事をもってしても、この介護保険制度の実施は、直ちに白紙に戻し、中止すべきです。実施は混乱を拡大し、制度が破たんするのははっきりしています。そして、そこで犠牲をこうむるのは、私たち国民であります。
 とりわけ私たちは声を大にして明らかにしたいのは、介護は、生きる権利であり、いのちの要求であるという根本です。恣意的でデタラメな認定制度を基礎にした介護保険制度は、この人の命の重みをまるでモノに値札をはるように、真っ向から踏みにじるものであり、とうてい、認めることはできません。

2. 介護保険は福祉のきりすてであり、戦後社会保障制度の全面的否定です。

 介護保険制度の核心は、国と自治体の公的責任とする措置制度であった介護・福祉のありかたを投げ捨て、民間営利事業者と個人の契約によるサービスの提供、すなわち介護を売り買いする制度に切り替えるところにあります。これでは、低所得者やわずかの年金を老後の生計の支えにしている高齢者は生きていくことができません。
 人は、お金のあるなしに関係なく、みな年もとれば、病気にもなります。人は、みな、社会を支えてきたのであり、年をとったり、病気になった人、「障害」のある人を支えるのは、社会全体の責任、国の責務です。憲法25条が、生活の全分野で最低限の生きる権利を国の義務として明記していることには、理由があるのです。
 介護保険は、「介護の社会化」「社会で介護を支える」といいながら、この国民の生存権と基本的人権をばっさりときりすてるものであり、絶対に一歩も譲ることはできません。福祉は権利、社会保障は国の責任です。私たちは、介護は全額公費で負担すべきと要求します。
 しかも、国は、一方で銀行救済に70兆円もの税金を湯水のごとくつぎ込みながら、介護費用には4兆3000億円しかあてようとはしていません。長銀につぎ込んだ税金4兆5000億円よりも少ないのです。「国の財政が危機であり、社会保障に金は回せない」というのは、とんでもない大うそであり、人を納得させるものではありません。
 とりわけ、40歳以上の全員から強制的に保険料をとりたて、給与・年金から天引きし、あるいは国民健康保険料と一括して強制徴収する介護保険は、まさに第二の消費税であります。しかも、支払えない人への罰則としてサービス給付の差し止めを行い、さらには健康保険証を返還させることを自治体に義務づけています(昨年健康保険法改正)。高齢者や「障害者」、低所得者は死ねといわんばかりです。私たちが行ったアンケートは、区に寄せられたアンケート回答をすでに上回り、一月足らずで千通をこえましたが、「知れば知るほど怒りがわく」「絶対にやめにして」という怒りの声、いのちの叫びに満ち満ちています。しかも、保険料を払っても、一生のうちに介護をうけられるのは、65歳以上でわずか10パーセント、65歳未満ではたったの0.14パーセントです。保険あって介護なし、まったくのかけすてです。そのうえ、仮に認定審査をパスしても、高額の利用料と保険外の自己負担を強いられます。国は「いつでも必要なときに誰でも介護が受けられる安心のシステム」といっていますが、まさに国家的詐欺と断言せざるを得ません。

3 .誰でも介護を受けられるように、そのためにこそ、介護保険制度4月実施の中止を強く要求します。

 日本がモデルにしたドイツでは、介護保険実施5年にして保険財政が赤字に転落、施設では、床ずれ放置と虐待でたくさんの人がなくなっています。介護保険を実施すれば、日本が同じ道をたどることは明らかです。
私たちは、杉並から全国の人々とともに介護保険制度実施中止の大運動をまきおこします。   以上
  2000年2月9日

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