つうと銀のいろの腹をひるがへして、一疋の魚が頭の上を過ぎて行きました。 『クラムボンは死んだよ。』 『クラムボンは殺されたよ。』 『クラムボンは死んでしまつたよ………。』 『殺されたよ。』 『それならなぜ殺された。』兄さんの蟹は、その右側の四本の脚の中の二本を、弟の平べつたい頭にのせながら云ひました。 『わからない。』 魚がまたツウと戻つて下流の方へ行きました。 『クラムボンはわらつたよ。』 『わらつた。』 にはかにパツと明るくなり、日光の黄金(きん)は夢のやうに水の中に降つて来ました。