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『そいつの眼が赤かつたかい。』
『わからない。』
『ふうん。しかし、そいつは鳥だよ。かはせみと云ふんだ。大丈夫だ、安心しろ。おれたちはかまはないんだから。』
『お父さん、お魚はどこへ行つたの。』
『魚かい。魚はこはい所へ行つた。』
『こはいよ、お父さん。』
『いゝいゝ、大丈夫だ。心配するな。そら、樺の花が流れて来た。ごらん、きれいだらう。』
泡と一緒に、白い樺の花びらが天井をたくさんすべつて来ました。
『こはいよ、お父さん。』弟の蟹も云ひました。
光の網はゆらゆら、のびたりちゞんだり、花びらの影はしづかに砂をすべりました。
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