1999年9月24日

 前回は、情報を出すところまで書いたかな。今日は、油防除の指示のお話から。

 実際に排出油の防除をするは、原因者ってことになっている。原因者ってのは、もちろん事故を起こした船の持ち主等のこと。

 事故などで油を排出しちゃった船の持ち主等が、とりあえずやらなくちゃいけない応急措置が、海洋汚染および海上災害の防止に関する法律施行規則第31(排出特定油の防除のための措置)に書かれている。以下に載せておこう。

 海洋汚染および海上災害の防止に関する法律施行規則

  第31(排出特定油の防除のための措置)

 法第39条第1項の規定により同項各号に掲げる者が講じなければならない応急措置は、次の各号に掲げる措置のうち当該排出特定油の防除のため有効かつ適切な措置であってそれらの者が現場において講ずることができるものとする。

  1. オイルフェンスの展張その他の排出された特定油の広がりの防止のための措置
  2. 損壊個所の修理その他の引き続く特定油の排出油の防止のための措置
  3. 当該排出された特定油が積載されていた船舶の他の貨物倉その他の油槽への残っている特定油の移し替え
  4. 排出された特定油の回収
  5. 油処理剤の散布による排出された特定油の処理

 応急措置で防除できないときに、船の持ち主等がやらなくちゃいけない措置が、海洋汚染および海上災害の防止に関する法律施行規則第32(排出特定油の防除のための措置)に書かれている。以下に載せておこう。

 海洋汚染および海上災害の防止に関する法律施行規則

  第31(排出特定油の防除のための措置)

 法第39条第2項の規定により同項各号に掲げる者が講じなければならない措置は、次の各号に掲げる措置のうち当該排出特定油の防除のため有効かつ適切なものとする。

  1. 前条各号に掲げる措置
  2. 他の船舶の貨物倉その他の油槽または他の施設への残っている特定油の移し替え
  3. その他排出特定油の防除の措置

 資機材はどーするかってぇとだ。海洋汚染および海上災害の防止に関する法律(以下、法という)39条の3(排出特定油の防除のための資材)によって、運輸省令で定められた船の持ち主、貯蔵施設の設置者、係留施設の管理者は、排出油防除のための資機材を定められたところに備え付けておかなくちゃぁいけないことになっている。また、法第39条の4(油回収船等の配備)で、油回収船を持っていなくちゃいけない船の持ち主等もいる。

 それでも防除仕切れない場合には、民間の防災措置機関にお願いしたりすることもある。

 で、海保さんは何をやるかってぇと、原因者の防除活動の指導だそうだ。原因者だけで処理できないと、海上災害防止センターってところに油防除措置を指示する。海上災害防止センターってのは、全国の84港湾で145防災事業者等と契約を結んでいる民間の機関。海上災害防止センターの詳しい話は、また後で。

 被害の規模によっては、海保さんは指示や連絡調整の為に現地対策本部を設置する。ナホトカ号の事故の際には、第8管区海上保安本部、第9管区海上保安本部に流出油対策本部が設置され、本庁に対策本部が移り、さらに閣議口頭了解によって、運輸大臣を本部長とする流出油災害対策本部が運輸省に設置された。オーソン号の事故の際には、第7巻区海上保安本部に油防除警戒本部、本庁に油防除警戒室が置かれた。ダイヤモンドグレース号の事故の際には、本庁に警戒本部、第3管区海上保安本部に現地連絡調整本部が置かれ、運輸大臣を本部長とする非常災害対策本部も設置された。いずれも、詳しい組織についてはわからない。

 また、海保さんには油防除に関する専門的知識および技術を有する主任防除措置官等12名からなる機動防除隊が編成されていて、事故の際に迅速に投入されるんだってさ。

 さらに、事故などが起きた場所周辺の海域の船舶交通の安全を確保するのも海保さんのお仕事。

 とりあえず、今日はこれでおしまい。

                               Koji

             

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