1日目 〜01年8月24日〜

アキオへ。
今日もこの伊豆に強い日差しが降りそそいでいる。
ただ昨日と違うことといえば
妹たちてっちゃんたちの明るい声とともに
今日からしばらく僕は海の中にいるのかもしれない。
そう、僕たちは夏休みの思い出を作ろうってことで
3、4日旅行に出かけることになったんだ。
鈴凛ちゃん大ちゃんがいうには
ちょっとしたドライブだってことなんだけど…。


さて、今年も強引にスキンダイビング旅行に全日程を意地でも参加です。
作戦名
「ライジングサマーバケーション セカンドシーズン」がいよいよ発動されました。
が、イキナリ足並み揃いません。
前日23日より千葉は大久保のPLCと言うゲームセンターに24時までに集合し
翌24日零時をもって作戦が開始という、例年通りの出発予定でした。
ですが、冬弥は23日の仕事の関係上、集合場所であるPLCにたどり着くことは
時間的に不可能となっていました。
以前よりこうなる兆候が見えていたので
こうなってしまった時の冬弥と大ちゃんとの事前よりの打ち合わで
冬弥の棲む横浜まで迎えに来てもらう事になりました。
いゃあ、助かります。大ちゃん、ありがとう。
12時に「これからPLCを出発するよ」というコーチからの電話を受けてから
家で待つこと約1時間半。
再び電話が入り、待ち合わせ場所としたJR石川町駅へ出かけます。
かばんを持ち、リュックを背負い、ノートパソコンを抱え
大きい麦藁帽子をかぶり、日本刀を腰に携えた
自分でもかなりヤバい格好と思いますが深夜なので誰も見てませんよ、きっと。
この荷物の他に、事前に大ちゃん宅に宅急便で送って車に積み込んでおいてもらった
ダイビング装備一式と衣装があるので、冬弥の今回の旅行はかなり大荷物でした。
JR石川町駅南口へ行くと大作カーが止まってます。
車に近づくとイキナリ3人に
「そうだねー にいさんそうだねー」とお出迎え。
アンドロメダ瞬、大人気です。
どうやらここに来るまでに、既にタイムゾーンを引っ掛けていたようですね。
と、大ちゃん、なぜかバカ写真撮影用に用意した
ブロンドのショートジャギーヘアーのウィグ(かつら)をもうかぶってますが
大ちゃんの頭部が巨大であるためウィグが頭部に納まりきらず
マッシュルームヘアー状態ですが
トモダチの僕はあえて何もつっこみません。
黙っている事が友情である時もあります。ごく自然に振舞います。
もちろん
凄く不自然だけど。つーかその頭のまんまで来たのか(今つっこむなよ)
そして冬弥を乗せて目指せ西伊豆へ。大ちゃんの頭はそのまんまで。
東名高速で料金所のおじさんを大ちゃんのヘアースタイルでひるませたあと
いつも通り海老名のサービスエリアで小休止です。もちろん大ちゃんの頭はそのままで。
ここで、伊豆のおばあちゃんに
お供えするためのドーナッツを買おうと探すも
なんと売ってない。なんてこった、これでは旅の安全が祈願できない。
なにより
民宿のサービス度合いに関わってくる重要な問題だ。(本気にしないでください)
しかし売ってないものは仕方ない。今年はごめんしてね、おばあちゃん。
伊豆のおばあちゃんは、みんなドーナッツが大好きさ。
さて、そんなわけわからん話はおいといて
海老名サービスエリアで早めの朝食をとって、大作カーはまずは沼津へと走ります。
去年は
沼津インターで降りるはずが通り越してしまったという
特大タイムゾーンを叩き出しましたが、今年はちゃんとインターを降りられました。
と、安心するも束の間、沼津市内に入る前にやっぱりのタイムゾーンを引っ掛けます。
それでも海を目指して大作カーは
チクチク走ります。
出発してから、既に山崎たくみの「薔薇の憂鬱」を3回は聴いていたでしょうか。
みんなが道中、カーステレオで聴こうと持ち寄ったCDに
みんな入っているもんだから「チクチク」しまくりです。
唯一コーチだけがついてこれてなかったようですが。
それとAIRのみちるの台詞
「にょわー!」も何度言ったかわかりません。
何かあるとみんなすぐ
「にょわー!」でしたから。
今年の旅行では「みちる」はひとつのキーワードでしたから。その理由は後述です。
で、沼津市内を抜けて修善寺道路を行こうという頃、やはり先行き道が不安です。
6時ごろ、途中に見えたコンビニで車を止めて道を聞きつつ
ガソリンの残量を気にしてこの先のGSの場所も聞き、少しのあいだ休憩です。
と、冬弥がコンビニのトイレを借りて用を済ませて出てくると
車の助手席に知らない外人さんが座ってます。
ジョン・レノン
あれは誰でしょう?いえ、我々は彼を知ってます。
彼はジョン・レノンです。
うわー、なんでこんな所にいるのでしょう。
そのままジョン・レノンは僕らと一緒に旅をすることになりました。
こんな大物と一緒に旅ができるなんて僕らはなんてラッキーなのでしょう。
ふと見ればてっちゃんの姿が見えませんが
ジョン・レノンと旅することができることに比べればそんなことは路傍の石です。
道を聞いたコンビニから少し進んだところに、GSが見えてきました。
しかしまだ開店してません。GSの隣にあったコンビニでGSの開店時間を聞くと
7時だと言うので、ここでGS店員が来るまでまた休憩です。
ジョン・レノンは日本の田舎が珍しいのか田んぼの方で
何かいないか探しています。絵になる風景です。さすが大物は違います。
給油してさあ目指せ西伊豆の海へ…って行き方が解りません。
このまま進むと
去年行った南伊豆に出てしまいかねません。
またも道を探して西に進路を向け、ようやく西伊豆方面の道を進みます。
いよいよ山道ウネウネに差し掛かりました。
ここらで夜通し起きていたレヴィコーチが睡魔に絶えきれず沈みます。
あわれ寝顔をジョン・レノンにデジカメで撮られてしまいます。なんて外人でしょうか。
そしてドライバーの大ちゃんもそろそろ電池切れです。
ハンドル操作かいよいよ危なくなってきたので
海を見る前にゲームオーバーになりたくなかったので少し休みます。
実は冬弥も車酔い気味でした。
少しの休憩のあと川沿いに進みようやく海が見えてきました。
この川沿いでも我々はまたとんでもないことして遊ぶ訳ですがそれはまた後の話。
海が見えたらウキウキ、あとは一直線、西伊豆浮島へ。
そのまま我々が4日間お世話になる
民宿「清涼荘」に辿り着きます。
清涼荘 正面
と、イキナリジョン・レノンが清涼荘の女将さんに挨拶です。
ですが女将さんも慣れたもので(?)
サラリと受け流します。
時間は9時過ぎ、天気は上々です。早く海に入りたいところですがみんな疲れています。
まだチェックインできそうもないので
清涼荘に荷物を置かせてもらって、まずは浮島町を散策です。
その時、唐突にてっちゃんが現れます。あれ、先に浮島に着いてたんですね。
途中から姿が見えないから心配しましたよ(してません)。
すると今度はジョン・レノンがどこかへいってしまいました。大物の考えることはわかりません。
まず海を見に行きます。前々日まで暴れていた台風11号が過ぎ去りいい天気です。
台風の影響で心配だった波も思ったより高くありません。良好です。
すでに日差しも強く早く海に入りたくなりますがやっぱりちょっと眠いです。
そして冬弥、「亀屋」という店の前で、謎のカセットテープを拾います。
後日、家でこのテープを聴いてみましたが、徳永英明や松田聖子の大陸語のカバーでした。
中国語か韓国語かは冬弥にはわかりません。でもこういうのは好きです。
さて10時ごろ清涼荘へ戻ります。チェックインして部屋に入るためです。ですが女将さん曰く
「チェックインは午後3時となってます」
は!?(CV:笹島かほる)午後3時とな!?
勝手に10時にチェックインできると思いこんでいた我々も我々ですが、
それよりもそんな時間にチェックインしてももう何もできない時間ではないか〜?
大ちゃんゴネます。
「疲れてんだから寝かせろー!」
…もちろんこんな失礼な口を叩いたわけありませんがニュアンス的にはあってます。
ゴネ攻勢にひるむ女将。ほどなく
部屋に強引に侵入します。
部屋に向かう途中、
大量のマンガ書庫を発見します。
マンガいっぱい
ソファも置いてあって、もう我々にここの本を読んでくつろいでくれと言わんばかりです。
これはここの施設とおもって利用していいものなんですよね。
きっともとはここの息子さんかなんかの所蔵品かなにかだったんでしょう。
宿泊中に大ちゃんが究極超人あ〜るの愛蔵版を読んだりしました。
でも2巻がありません(笑)。それと奥に非常口が見えるのですが
ソファやら本やらが思いっきり邪魔して非常の際に非常口としてはまず役立たないでしょう。
で、我々には2部屋をあてがわれました。冬弥とてっちゃんはさっそく
ノートパソコンを充電しようとコンセントを差し込みましたが
この部屋まだ電気がきていません。3時までお預けのようです。
クーラーもきかないので窓を全開にして、あきらめてみんな仮眠をとります。
そして12時ごろ起き出して海へ行く準備
そして海に入る前に軽く食事をとる事にしようと浮島に2軒ある海の家の片方で昼食です。
そこのかき氷のシロップのレパートリーの多さにみんな目をキラキラさせます。
あとで絶対食べにこようと心に決めます。
海の家の食事は不味いと言う定説は場所によりけりと考えを改めましょう。
冬弥は美味しくチャーハンをいただきます。ですが一緒に頼んだ「かにみそ汁」が
「カニミソの汁」だと思ってたのが「カニのみそ汁」だった勘違いにちょっとがっかり。
でもこれはこれでカニのいい匂いで美味しかったですね。
さぁ、いよいよ海へと向かいます。
浮島海岸左側から見た海
浮島海岸に向かって左側に移動し
日焼け止めなどの準備を万端にしていよいよエントリー。
海中の透明度はまあまあよいといったところでしょうか。
まぁ、これがぜんぜんよくなかった事が後日わかってしまうのですがそれは後の話。
冬弥、せっかくの水中カメラを清涼荘に忘れてきてしまったため
1日目は海中写真はありません(泣)。
ですが、ふと海面に首を突っ込んでイキナリウツボを発見。ニョロニョロと泳ぐ様をみて
ああ、海に来てよかったなぁ
って波間を漂いながら感慨にふけります。
と、去年に冬弥は死にかけたので自身細心の注意を払わねばなりません。
どうも三半規管が弱いのでヤバくなったらすぐ陸上に避難です。
よって、みんなより海中にいる時間が少ないのがつまらなく悔しいですが、仕方ないです。
休み休み海中遊泳を楽しみします。
午後からのエントリーなので時間も少なめで
誰かが落した海底に埋もれてる携帯電話を
ハッピィサルベージしたりして
今日のところはエキジット。
ダイビング旅行記の癖にダイビングしてる文章やけに少ないですね(笑)。
清涼荘に帰り、屋外の備え付けのシャワーで身体を洗います。
おお、温水です。温泉地はいいですねぇ。
ですが、濡れ物を乾かす物干しや乾燥棚などが見当たりません。
普通、海水浴場の宿場ではあって当然のような感じであるようなものですがありません。
シャワーがあるのにちょっとおかしいです。清涼荘の人に言って物干しを用意してもらいます。
この頃からこの清涼荘の様子がなにかおかしいと思うようになります。
いくらここが基本的にセルフサービスの民宿とはいえ、少しもてなしがないのではないかと。
後にわかった事ですが、この清涼荘では
この時、親戚か身内にどうやら不幸があったらしいのです。
シーズンを過ぎていたため宿泊客は我々しかなく
その他の人は多分親戚か身内でしょうか、喪服の人がいたりしました。
清涼荘の方も我々客人をもてなしている心の余裕はなかったようです。
それであまり我々に構っていられなかったようですね。
で、部屋に入ってしばらくまったりしていましたが
海の家が5時に閉まるのを思い出して、かき氷を食べに行きます。
シロップの種類が豊富なのでいろんな味が試したくなるのは人情。
そこで出た話題が複数のシロップを混ぜたらどんな味がするか?という話で盛り上がり
結果、普通シロップに使用しないものでかき氷を食べたら美味しいか?という事になり
旅行後に実際に試してみる事に。もっともシロップを混ぜて食べるは
2日後にてっちゃんが実践してしまうのですが。
清涼荘に戻り夕食です。
海の幸万歳。
食事後、冬弥は風呂に入ろうとしました。
ここは温泉地です。
今日の疲れはもちろん、日ごろのストレスを洗い流してしまいたい気持ちでいっぱいです。
ですが、そういえば風呂の利用時間を清涼荘の人から聞いていません。
普通、チェックインした時にはそういう諸項目は民宿側より言われると思うのですが
今回は事情が事情だけに仕方ないとしましょう。
もちろんこの時はそうは思いませんでしたが。
すると、どこからか情報を仕入れてきたコーチはこう言いました。
「隊長、風呂入るにはニュウトウゼイを払わなくちゃいけないらしいよ」
乳頭税?うわ、なんてえっちぃ税でしょう☆
…いえいえ、入湯税です。
風呂に入るのに税をとるのでしょうか、ここは!?ちょっとびっくりです。
真相を確かめるべく各部屋においてある案内ファイルを開きます。
これには、民宿の決まり事や施設の使用時間、宿泊料金などが記されてる他、
伊豆地方の観光名所のパンフレットや割引券、チラシなんかも
一緒にファイリングされています。
いちはやく風呂に入りたいコーチと冬弥が
そのとき見つけてしまった不可思議なパンフレット。
「下田城美術館」という下田にある美術館のパンフレットですが
国宝級古美術品から趣味の骨董まで数千点を展示という
表向きごく普通美術館のそのパンフレット裏一面が
オカシサ炸裂している。

隕石って凄い! パワーって凄い!
いざ、下田城美術館へ
! ここへ来れば誰もがビックリ!!
世界初のミラクル
パワー館へ
☆次々と奇跡が起こっています、
きっとあなたも不思議な体験をされるでしょう。

(下田城美術館パンフレット裏面より)


ミラクルパワー館とは一体!?
下田城美術館
美術館じゃなかったのでしょうか?
どうやら、ここにはとある隕石を展示してあって
それが摩訶不思議な力を有すると言うらしいのですが
そのパンフレット裏面の記事がどれもみんなオモシロオカシイ。
その中でも特に
我々の心を鷲掴みにして放さなかったのは
宇宙能力盤というらしい
最近流行りの風水盤のような物の横のいかにも余ったスペースに
せっかくだから描いてみました、って感じで描かれている謎の絵。

宇宙神様OK!
宇宙神様OK

どなたですか、アナタ!
宇宙でありながら神様。
神様でありながら宇宙。
神様でありながらOK。
そして、このがんばって描いたとも
手を抜いて描いたともつかぬ
たぶん宇宙神様OKのイラスト。
そのおすまし顔の横に添えられた
OKサインが形作られた両掌には
いったいどんな真実が!?
…ぜったいにわかりません。
どうやら
宇宙神様OKの頭部にある
のマークになにか不思議なパワーの秘密があるようなんですが…。
下田城美術館に行きたいような行きたくないような
そんな不思議な気持ちになります。
思わず、そのパンフレットをもって
そのときマンガ書庫にいたてっちゃん達に見せに走ります。
もちろんみんな大ウケ。
以降、AIRのみちるの台詞
「にょわー」はなりをひそめ
かわりにこの
「宇宙神様OK」がいろんなところに横行するようになります。
で、肝心の風呂はどうなったかと言うと
どうやら入湯税200円と言うのは本当のようです。
後日談になりますが200円は既に宿泊料に含まれていた感じになっていたため
どうせなら入らにゃ損状態だったようです。
とにかく200円くらい目をつぶろうとコーチとともに風呂に向おうとします。
と、見ればてっちゃんと大ちゃんはもう部屋でぐったりです。
大ちゃんはやっぱり運転のつかれが出たのでしょうが
てっちゃんに至っては前日にファンタシースターオンラインを
徹夜でやっていたらしく寝不足らしいです。しょうもないヤツですな。
まぁ、てっちゃんがなにかのイベント前に徹夜するのはいつもの事なのですが。
寝るんなら布団ひいたほうがいいよー、と言うまもなく2人とも既に寝ています。
ざこ寝状態の二人を置き去りにして風呂へ向かいます。
ちょっと狭めですがとてもいい湯です。浮島温泉の湯はいいですねぇ。
とても芯まで温まり、疲れと日ごろのストレスが抜けていくようです。
まぁ疲れはともかくストレスは気のせいだったかもしれませんが…。
風呂から上がったも温泉効果でポカポカが抜けません。
少なくとも湯冷めだけは絶対しなさそうです。
風呂から上がっててっちゃん達のいる部屋をのぞくと熟睡状態です。
そのままにしておきます(笑)
そのポカポカの身体でコーチと夜のお散歩、ジュースを買いに出かけます。
あったかな身体に夜風が気持ちよいです。星も綺麗だし。
旅はいい。なんと言っても○○○がいない。
開放的ですね〜。
大ちゃんも究極超人あ〜るを読んでこのネタがわかりましたか?
さて、部屋に帰ってきて、もうひとつの部屋で冬弥とコーチは布団をひき
ジュースを飲みつつ、コーチのノートパソコンから垂れ流されるマッドムービーを子守唄に
静かに1日目は過ぎていったのでした。

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