1日目 〜02年8月21日〜

あの頃、太陽は裸だった。
鋭い直線の陽射しに目がくらんだ。
あの頃、麦藁帽子が宝物だった。
小さな頭にブカブカのΩが偉そうだ。
あの頃、かき氷も小娘みたいだった。
イチゴの赤、メロンの緑、レモンの黄。
(By Ikkiにいさん)

さぁ、思わぬ延期にメゲることなく(ちょっとだけメゲたけど)
いよいよライジングサマーバケーション発動です。
僕はやっぱりうきうきした。
集合場所である竹芝桟橋へ向かいます。
皮肉にも、荷物は当然準備済みでありましたので
出発前にバタバタすることもなく。
待ち合わせには余裕を持って出かけたつもりでしたが
JR京浜東北線が上野駅で人身事故とやらで遅れていました。
やっと石川町駅に到着した電車の車内、冬弥の持ってきた
フチがちぢれている麦藁帽子が
遅れて混んでいる電車ではとても邪魔でした。
ちょっとばかし気を揉みましたが、なんとか待ち合わせ時刻の
21時30分に間に合います。

竹芝桟橋ターミナル広場には、すでにコーチと大ちゃんが到着していました。
てっちゃんのみが遅刻という珍しい状態です。
さて10分ほど遅れててっちゃん到着。
すぐさま乗船チケットの受け取りです。てっちゃんとコーチがチケットをとりにいき
いよいよ22時30分、乗船です。本格的な船旅というのは初めてです。

我々の入った二等船室は座敷ではなく座席でしたが
偶然にも最前列で、前方に座席がないぶん足が伸ばせてリラックスでき
かつ、荷物を前方に広く置くことができるという

いいところに運良く配置されました。
どうせ乗船中の殆どを寝てすごすとは思っていても
波間に漂うだけで酔ってしまう、乗り物酔いの激しい冬弥は
父親が趣味の船釣りのとき飲むという強めの船酔い止め薬を飲みます。
これで万全。ですが出発前に不安なアナウンスが。
「御蔵島、および八丈島は条件付き出航となります」
まだ外洋である島付近では台風13号の影響で波が高いらしく
現地まで行ってみて港に接岸できないと判断された場合は
東京に引き返すという条件付きでの出航でした。
もはやここまできたら祈るしかありません。
さて、いよいよ船が動き出しました。
とにかく船内うろつきます。東京湾内ではデッキに上がって

レインボーブリッジの下をくぐるのを見たり、お台場方面の夜景を見たり。
しばらく夜風に吹かれていました。
周りの人がまばらになってきたところで船室に戻ります。
船室ではノートマシンでコーチが100円ショップで買ってきたと言う
「エーススピーダー!リミックス」というレースゲームに思わずハマってしまいます。
以降、旅行中に暇な時にはエーススピーダーをプレイする姿が見られました。
みんなが寝てしまった2時頃、冬弥は一人でデッキの上にあがりました。
もう房総半島の先っぽくらい南まで出た所なんでしょうか。
船の進行方向右側は真っ暗で何もありません…と思いました。
進行方向左後方にチラチラと小さな光が見えるくらいです。
正直、どこら辺を進んでいるのかさっぱりでしたが
暗い海を航行するのはなんとも怖いものです。
船の後部デッキにはもう誰もいません。
大抵こういうところに一人でウロウロしているような人は
第一死体発見者か、もしくは現場を目撃して犯人に殺される役でしょう。
なんにしてもいい役回りじゃありません。

外洋に出た頃なのか波も高くなってきました。
ここにいても麦藁帽子と白のワンピースの清純そうな美女が現れて
自分の個室の船室に迎え入れてくれたりとかは多分なさそうなので
2時半頃に座席にもどって目をつむります。
それからは時間の経過はよくわかりませんが
だんだん船の縦方向のゆれが大きくなってきました。
うつらうつらと眠りと目覚めが半分の4時半ごろ、船内アナウンスが入ります。
御蔵島欠航決定、八丈島直行とのことでした。
御蔵島行きだったはずの乗客の方、ご愁傷様です。
と、他人事じゃありません。我々も上陸できるかわかったもんじゃありません。
ただ聞いた話によると、本来御蔵島に行くには三宅島を経由して
三宅島から出ている小さな船で上陸しているらしいのですが
三宅島全島避難中のため御蔵島行きの船も当然運休で
現在は八丈島行きの船が御蔵島に直接経由して行っているのですが
本来の小さな船が接岸できるくらいの小さな波止場しかなので
この八丈島行きの船のような大きな船では
大きな波では接岸がより難しいらしいです。
その点、八丈島はちゃんと大きな船が接岸できる港であるということで
多分、おそらく、と自分を元気づけます。
8時ごろ目がさめて、みんなでデッキに上がります。
あんまりいい天気とは正直言えませんが
すぐそこに島が見えます。
「あれかな?」と思った島こそ八丈島です。

「アキオへ…」
貨物船が荷物の積み下ろしをしているとのことで、30分ほど接岸が遅れましたが
9時過ぎ
八丈島、八重根港上陸です。ポリスマンはいますがカプラ職員さんはいません

幸い天候は回復したのかいい天気です。写真ではそうは見えませんが。
さて、てっちゃんの話によると今回お世話になる
民宿『広江荘』さん
港まで迎えにきてくれるそうなんですが、それらしい人は見当たりません。
まぁ、港から近いところという理由で決めた宿なので近くにあることはわかっています。
場所を人に聞いて歩いて広江荘へ向かいます。
途中、ハイビスカスがいっぱいです。ここだけでなく八丈島内は
ハイビスカスがいたるところに咲いていました。
南国風味抜群です。
さて広江荘に到着…だと思うのですが看板には
「漁火」とあり
見た感じは、どうやら
海産物を食べさせてくれる呑み屋のようです
少なくとも『民宿 広江荘』という雰囲気じゃありません。
他にそれらしい建物もなくはないですが、もうどれがどれやら。
「漁火」さんの扉をあけて「あの〜…」という感じで聞いてみると

やっぱりここであっているらしく、この奥の建物に通されます。
「チェックインは3時となっております」

とか言われなくてよかった。お世話になります。
後でわかりますが、なんとも目立たないところに
地味ーに広江荘と書かれた表札がありました。

部屋は繋がった六畳間二部屋を割り当てられました。

その部屋にはなんでか
ベッカムのポスターが。
はじめパッと見た時は、よくありがちな
地元の「○○酒店」とかの名前のついた
ポスターつきカレンダーかと思いましたが
ただのまんまベッカムポスターです。
W杯の影響がこんな離島にまで。
まぁ、冬弥はサッカーには

まったくキョーミナッシング
なのでいいですが。

12時過ぎごろ、着替えて昼食をとりにでかけます。
といっても選択肢が多くあるわけでもなく、港近くの中華屋に入ります。
この際、味は問いません。冬弥は不味くはなかったと思います。
ですが
注文してから1時間近く待たされたのはどうかと。
そのあとダイビング道具を取って、1日目のスポットとして決めた
ヤケンヶ原海水浴場…というより八重根港でエントリー。

さて、より外洋に近い海はどうかなっと潜ってみれば
おお、水はとても澄んでて綺麗。
さすが、南伊豆もこれにはかすんでします。


いる魚は南伊豆で見た魚よりもみんな大きめ。

やっぱ広い外洋に面してるとデカく育つのでしょうか。
しかし、八丈島周り海は火山の溶岩で海底ができていて
海藻類が殆ど無く、それにあつまる魚達も見ることができませんでした。
南伊豆に比べて水の透明度はとてもよいのですが
魚達をあまり多くは見かけることができませんでした。
波はやや高くうねり気味で魚が少なかったせいもあると思います。
もう少し沖の方へ出れれば違うのでしょうが。
それなので3個も用意した水中カメラでしたが
なんとこの旅行中、1個使い切ることがありませんでした。
何でもいいから写してくればよかったと今更思いますが仕方ありません。
なのでこの旅行記、ダイビング旅行なのに海中写真が少ないです。
しばらくしてみんなで港を東に
旧八重根港の方へ移動。
大きい防波堤をこえて溶岩質の海辺へ降ります。
そこへ行くと、みんなもう海に入る気力がなく
溶岩が固まってできたごつごつの岩場の上で甲羅干しになってしまいました。
といっても陽に焼けるほど太陽光が強いわけありません。
薄曇りというか、なんともちょうどいいお昼寝日和です。
なんで、みんなでうとうと居眠り。
しかしのどかなところですね。全然ひとけのないところです。
ホントに周りにゃだーれもいない。
これなら人目を気にせずにバカ写真も撮り放題でしょうに。
ちょっと荷物持ってきてもよかったかなーとか思いました。
夕刻ちかく、目が覚めて広江荘に帰ります。
僕はシャワーを浴びた。そして髭は剃らないけど着替えた。
しばらくして、いよいよ待ちに待った夕食です。
冬弥は毎年のこの旅行をダイビングの楽しさとともに
新鮮な海の幸が食べられるとことが楽しみでいます。
特に漁師さんがやっている海の民宿の海の幸は大好きです。
今回は八丈島。さぞや美味いものが食えるだろうと期待していました。
しかし。食卓に並んでいる品を見て、もし自分の顔が見えるならば
落胆の色を隠せていなかったと思います。
海の幸まるで無し。
そんな冬弥の顔色がわかってしまわれたのか、りおじさんが言いました。
台風13号の影響でここ2、3日まったく漁にならないらしく
海産物がないらしいのです。
誰のせいでもないことですが、期待していただけあってとても残念。
ただ広江荘さんの
畑で取れたというスイカは甘くて美味かったです。
…明日に期待しましょう。
そのあと部屋に戻り、なにかおやつか何か欲しくなりましたが
この周りには商店らしき商店はなく、広江荘の車を借りて
商店のあるところまで買出しに行くことにしました。
広江荘のおじさんに近くの商店の場所を教えてもらって車を借ります。
運転者は免許証をちゃんと持っているかしきりに聞いていました。
まぁ当然ですが心配なんでしょう。
さて、こういう場合の車の運転は大抵大ちゃんです。
しかし、ドライバーズシートに収まってさあ出発というときに
大ちゃんが驚愕の叫びをあげました。
なんとそのクルマはマニュアル車だったのです。
さあ困った。オートマ慣れ、というよりオートマオンリーなドライバーだったら
やっぱりいきなりマニュアルで運転しろといっても難しいでしょう。
不思議な気分に戸惑うよ。
なれないクラッチワークに何回もエンストしてしまいます。
思い通りにならない車に毒つきながらも車は発進し
島のほぼ中央付近にある、多分
島内唯一の『スーパーあさぬま』へ。
お菓子やジュース類を買って帰ってきてからしばらくは
それらを食べながら、はっぱ戦士どもはリーフファイトTCGに興じます。
ここで言うのもなんですが最近の冬弥の綾香デッキの勝率は著しく悪いです。
冬弥、参加者で一人リーフファイトをプレイしない大ちゃんに
リーフファイトを教えて一緒にプレイしようと、デッキを組んで教えようとしましたが
大ちゃん途中リタイヤ。まぁ、疲れていたためしょうがないっちゃ仕方ありません。
大ちゃん、疲れて布団を引かずにごろんと寝てしまうのを防ぐため
隣の部屋に布団を引いて大ちゃんは先に就寝です。すみすみー。
さて残った3人はリーフファイトしたりノートマシンでゲームしたり
ファイルのやり取りしたりと夜はふけて、1時半頃に就寝。
すみすみー。

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