2日目
 〜03年5月4日〜


7時45分頃、なにやらテレビの音がして目がさめます。
冬弥がロフトを降りると、峨畿棉が暴れんじゃあを観ていました

みんな8時に起きるようにしていたので、のそのそと起き出してきます。
8時になり、そのまま仮面ライダーファイズに移行。
ファイズを観終わると、朝食を取るため東明荘本館へ。
朝食取りながら食堂のテレビで何食わぬ顔して明日のナージャを観ます。
おおプリチー。
『はまゆう山荘』と違ってナージャを観ながら朝飯が食えるところがいい、と誰かが申しておりました。
題名のない音楽会を傍に流しつつ食後のお茶をすすり
まったりと食べ終わってロッジに帰ります。
お値段の割に量と味の良い朝食でした。
朝食後、てっちゃんと峨畿棉は昨日買ったゴムとばし飛行機を外で飛ばそうとしたようです。
冬弥はその場に居合わせなかったので詳しいことはわかりませんが
てっちゃんが川を背に山方向へ飛行機を飛ばしたところ
くるっと宙返りをしてあっという間に背後の川にダイブしたとのことです。
後日調べましたが、この飛行機はパッケージ絵のとおり宙返りして飛ぶのが特徴らしく
飛ばし方によっては後ろに飛んでいってしまうのは想像に難くありません。
哀れ、飛行機はその短い一生を終えたのでした。
さぁ、少しの準備の後、本旅行のメインである観光に出かけます。
どこへって?そりゃ尾瀬へですよ。尾瀬に来たんですから。
まぁ尾瀬といっても広いですけど。
位置関係から鳩待から尾瀬ヶ原か大清水から尾瀬沼の2択です。
まぁ尾瀬に来たら、ありがちとか面白みに欠けるとか言われてもとりあえず水芭蕉ですか。
といっても今は5月です。「夏がくれば思い出す〜」とあるように
まだこんな時期に水芭蕉が尾瀬ヶ原に咲いているとは思えません。
そこでこの時期でも水芭蕉が見れるところとなると尾瀬沼手前の大清水湿原でしょうか。
そうなると目的地は尾瀬沼となります。
どこへ行くかは、ガイドブックを買って持ってるコーチに一任されたような雰囲気でしたが
実際にそのガイドブックを手にして読んでいた冬弥の一存のような形になりました。
冬弥は尾瀬ファン(?)である母に「ここへ行け」「そこへ行け」「あれを見てこい」
などとあれこれレクチャーを受けてきていたのでした。
とりあえずみんな車に乗り込みます。
ロッジから尾瀬方面へはほぼ1本道。
鳩待方面への分かれ道をまよわず大清水方面に進み

大清水湿原に到着。おお、水芭蕉が咲いてますな。一応尾瀬らしい風景です。
駐車場にクルマをとめて、ここからは徒歩です。
大清水休憩所で各自飲み物を補給、にじむーは杖まで購入。
さて、山登り開始です。目指すは尾瀬沼。

旅行前、コーチの「尾瀬は残雪が残っているから各自用意はしてきたほうがいい」
との発言に各自長袖を着てくるなどの用意をしてきましたが
歩いてものの数分で、暑くて上着を着ていられなくなり
各自Tシャツなどの薄手になります。
しかしなんだか面白みのないだらだらとした道が続きます。こういうの一番疲れます。

ちょうど残雪がちらほら見え始めた頃の一之瀬休憩所で一休み。
一之瀬から少し歩いていくと橋があり、橋を渡った先に三平峠に行く山道が続いています。
そこからは残雪の量が目に見えて明らかに増大しました。
とりあえず橋でみんなで記念撮影の後、山道に突入です。

山を登っていくとだんだん残雪が増えてゆき

ついに残雪どころか雪そのものの雪道へと変化しました。
しかし、そんなことは殆ど意に介せもせず登り続けます。

雪はどんどん増えていき、もう雪山そのものといっても一向に差し支えない風景になりました。
しかし冬弥の服装はTシャツ、チノパン、靴はバッシュ。他の面子もまぁ似たようなモンです。
とても雪山を登ろうっていう服装ではありません。
しかし寒くはなく、むしろ山登りで暑いくらいです。
でもよくよく考えて、この日の天候がずっと晴れていて本当に良かったです。
山の天気は変わりやすく、もし曇ってきたり最悪雨や雪が降ってきたりした場合
このあとの展開がまったく違っていたでしょう。
ある意味いろいろな偶然に助けられ雪山行軍は続き、雪は更に深くなっていきます。
靴だけが雪山を登るにはまったく適していないため当然のことながら滑ります。
ミューが低くてトラクションが悪すぎます。ロードグリップにかけろ。
しかし雪深くなってくると滑る事よりも心配なのは雪のふみ抜きです。
雪が積もっている下が地面とは限らず、渡し板や階段に積もった場合などは
雪の下が中空である場合があります。
もし雪の下が何もないところを踏み抜いてしまった場合
下手すれば捻挫、悪ければ骨折という危険もあります。
前を歩いていた人が踏んだところが安全とも限りません。
むしろ危険といえなくもありません。
そういった自然によって仕掛けられた罠をかいくぐり
明らかに装備で劣る我々は休み休み行軍を続けます。
すれ違う人や休憩所で休んでいる人たちはみんな雪山登山ルックです。
こんなカジュアルな服装で来ているのは我々しかいません。
だんだん他の登山者達から
『何だ、こいつらは?』『山をナメとんのか?』という
奇異の視線を向けられ始めます。
しかしそんなことで怯むな。確かに尾瀬を舐めてかかったことは事実だが
ここまできたらとことん舐めきって周りの登山者達を逆に怯ませろ。

旅行参加者中最も体重が重い冬弥はよく罠にかかり雪を踏み抜きます。
左足を踏み抜き、慌てて左手をつこうとしたら左手も突き抜き
左半身が完全に雪に埋まったりもしましたが(上がその後の写真です)
幸い怪我もなく根性で登ります。

そしてついに
三平峠ヒルクライムを攻めきります。
この時には部隊列がだいぶ伸びて、先頭を歩ていたパパ、てっちゃんと
最後尾を歩いていたにじむーとではかなりの差が開いていました。
ここでとりあえずの休憩です。ここから尾瀬沼まで行くには下りになります。
つまり帰り道はここを登ってくることになります。
ここでもう引き返そうか?という声も出ますが、それでは何の意味もありません。
さて、ここから一気に尾瀬沼に下ろうとてっちゃんたちがしたとき
まだにじむーは追いついてもいませんでした。

にじむーがやっと登りきり、少しの休憩の後ダウンヒルに突入です。

かなりの急斜面です。正直にスキーが欲しくなります。
と、下っている最中に少し視界が開けたところで目に入ってきた風景があります。
不自然なほど真っ平らな雪原。

すぐにピンときました。あれが尾瀬沼で
沼の表面が凍っているのだと。
完全に冬の風景ですな。
とにもかくにも目的地が見えたことで足も速まります。
ダウンヒルを一気に駆け下ります。いいか啓介、スノーロードを走りこめ。

『うわーい、見てユキちゃん、白樺林だよぉ〜』
『あははー、まってよーシンドリッター』

『わーいわーい、しらばか、しらばか〜』
『言っとくけど「しらかば」だよユキちゃん』

『わーいわーい、楽しいな〜、嬉しいな〜』
『なんかよくわからないけど、わーい』
まぁ、とにかく元気な連中です。
ダウンヒルを下りきり、尾瀬沼山荘前にたどり着き、尾瀬沼は目前です。

が、冬弥はここでまたしても雪を踏み抜き下半身が雪に埋まり動けなくなります。
ゴールを目前にして早く着こうとして気が急いてしまったようです。
後輪が4輪だったら埋まることはなかったのに…。
ゴールを目の前にしてアルペンラリー優勝を逃してしまいました。
なんとか抜け出して、ついに
尾瀬沼に到着です。
やっぱし何度見ても
尾瀬沼、凍ってますよ。見える景色がほぼ白いです。

尾瀬沼向こうに見える燧ケ岳も完全に雪山ですよ
でも我々の服装はとてもカジュアル。ここでも寒くありません。
とりあえず長蔵小屋方面へ歩き出します。

ここは間違いなく湿原ではなく雪原です。
凍った沼の所々にある水面に映りこんだ燧ケ岳がきれいでした。

長蔵小屋へ到着。この先の大江湿原の方まで行ってみようとしましたが
とりあえず一休み、トイレ休憩。PUUちゃんは杖を購入。
ここでここからの行動をどうするか協議しますが
行動も何も来た道を戻る以外に何もありゃしません。
尾瀬ヶ原方面に行こうものなら今日中にロッジには帰りつけず遭難マチガイナシです。
登りはじめるまえに大清水に戻ってくるって言ったでしょーが。
聞いてくれてたのはかるちゃんくらいだったですが。
ニッコウキスゲが有名な大江湿原を見に行くのは
夏ならまだしも、見える景色がもう想像できてしまったためやめました。

時間は14時。そろそろ引き返さないと下山までに日が暮れてしまいます。
さっさとエクソダスしないといけません。
さて、尾瀬沼からは急斜面のヒルクライムです。

この急勾配はかなり厳しい。PUUちゃんぐったり。
ここを登りきってしまえはあとは下り坂です。いくらか楽でしょうか。
ですが、下りではパワーを使わないかわりに日中照った陽に解けた雪が流れ出し

より一層足元が滑り、雪の踏み抜きの危険が増していました。
そして冬弥はやはりというか、またも踏み抜きます。しかもかなり盛大に、危険に。
思いっきり道から外れ、山の斜面に落ちていこうとするところを
踏み抜いた足が引っかかって転落を免れました。
これは踏み抜いた足が怪我しなかったのは僥倖でした。正直ビビリました。
それからも何度も危機を乗り越え
どういう理由か
宇宙戦艦ヤマトの『真っ赤なスカーフ』を合唱したりしながら
なんとか全員無事に雪のない所まで下ってこれて一安心。
あとはだらだらと山を下るだけです。実はこの道の行程が上り下りとも一番疲れました。
大清水休憩所に戻ってきてここでしばらくぐったり。
冬弥は少しでも尾瀬らしい風景を写真に残そうとここの水芭蕉を写真に収めます。

おお、ようやく尾瀬の旅行記らしくなりました。
にじむーがクルマを駐車場から出してきて大清水を後にします。
で、大清水からロッジには直接帰らずに
どこかの温泉に入ってゆっくりし、宿では夕食は出ない(というか取らない)ので
どこか外で夕食を取ってから帰る事にしていました。
とりあえず手近な温泉を探しつつ、昨日も行ったスーパー、酒屋で買出し。

そのまま看板を見つけた
『花咲の湯』という温泉へ向かいます。
花咲の湯につくと前にたくさんのこいのぼりが見えました。

あー、そういえば明日は
端午の節句、子供の日ですね。
だんだんと陽が暮れゆくなか露天風呂です。
山々が
夕陽で紫色になっていくのが美しいです。
風呂からの眺めは余計な建築物が少なく自然のままの風景が多いのもいいです。
冬弥が今まで行ったところの露天風呂は、露天風呂自体は屋外にあるのは当たり前ですが
ここは体を洗うための鏡と流し場やシャワーが屋外にもある所でした。
せっかくですので外で体を洗ってみます。
しかし髪の毛を洗っているとき風が吹いて妙に寒かったです。
体を洗うときくらいは屋内のを使っても良かったかもしれません。
しかし露天風呂のお湯は温かくて良かったです。
露天とはいえ湯は熱い方が冬弥は好きなのです。露天風呂はとかく微温くなりがちですしね。

湯上り、体脂肪を計る機械があったのでみんなしてやってみます。
冬弥はギリギリ肥満じゃないそうですがどうにも怪しいもんです。
そして花咲の湯のレストランで夕食をとったあと
ロッジに帰ってきて雪山勝利の酒盛りです。
周りの雪山装備を鼻で笑いつつ我々は雪の尾瀬に勝ったのだー!
まぁ、いくつもの偶然の上にある勝利です。2度は多分ありません。
温泉に行く前に酒類の買い出しをしたものだから酒が冷えていませんでしたが
温泉の後に買い出しに行ったのではもう店が開いてる時間ではないので仕方ありません。
酒を飲みつつ肴を食べつつ、冬弥とコーチのこれまで撮ったデジカメの写真を
ノートパソコンで見たりしながら夜は更けていきました。
さて酒が尽きると酒盛りも終わり、酒が入って気持ちよくなってしまったか
かるちゃんは早くも1階の2段ベッドの部屋で就寝。
冬弥とてっちゃんは、1階で冬弥のノートパソコンで久し振りのEFZの対戦。
残りの面子は上のロフトでパパとのリーフファイト対戦をしてました。
しばらくするとリーフファイトを終えたにじむーが
「寝るからうるさくしないでね」と自分は今までさんざん遊んでいたくせに
勝手なことをヌかして寝室に消えていき
そしてロフトの方から
「さて、ときメモ2人生ゲームするぞー」
EFZ対戦していた冬弥にそんな声が聞こえました。
え?今日もやるの?マジで?
しかしパパは昨日はあぶれてプレイできなかったので今日ヤル気まんまんです。
もうハラを決めましょう。起きてる面子をなかば強引にかき集め
今日もときめいてもらおうじゃねェか、ええ!?
昨日のプレイを元にいくつかのハウスルールを盛り込んだ2回目のプレイが開始されました。
結果から申しあげて、全プレイヤー誰にも告白されず1人で卒業する
いわゆる女々ヤロエンドです。いや、2だから向日葵エンドかな。
途中から泥沼状態でみんながみんなトップ足を引っ張った結果でした。
本当ならポイント合計で順位が決まるのですが
そんなことしても虚しいだけですし、誰も告白されなかったわけですから
全員負け組ということで決着しました。
しかし、どんなにがんばっても最後の最後で今までの経過はほとんど関係なく
ひっくり返せちゃうのはちょっと問題ありなのではないでしょうか、このゲーム。
最終問題の得点で全てひっくり返せるベタなクイズ番組みたいです。
まぁ、そんな事ここで書いてもしょうがありませんけど。
さて、すでに2時。みんな元気ですね。
さっさと片付けて布団の中にもぐりこみます。
ネルルゥ。

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