エンターテインメント・レビュー

第十七弾

映画

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・
チャイナ&アメリカ

ジェット・リー主演作品

「少林寺」以来見ていなかったジェット・リー=元リー・リンチェイの映画を好んで見るようになったのは、「リーサル・ウェポン4」を見て、彼のアクションに感動してからである。

ここでわざわざ彼のプロフィールを紹介する必要はないが、やはり元中国武術大会チャンピオンなだけあって、同じカンフーモノでもジャッキー・チェンとは一味違う。全体的にスピードがすさまじく早いのだ。

で、興味を持って色々彼の作品を見だし、中で一番面白かったのがこの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズだ。
この「ワンチャイ」シリーズは清王朝末期に実在した英雄・黄飛鴻の活躍を面白おかしく描いた映画だ。外国勢力の国内進出で国家が揺らぎ始めた動乱の時代を舞台にしたアクション映画で、この映画をA級娯楽映画とたたえる人も多い。
確かに面白いし、ワイヤーを駆使したアクションは圧巻だ。
でも、自分はこの映画はB級だと思う。悪い意味ではなく、ね。
どういう事かというと、普通A級ハリウッド映画を見ているとき、観客はあたかも自分がそのドラマの中に身を置いているような錯覚にとらわれ、我を忘れて作品に没頭してしまう。
だが、この映画シリーズはどこか一歩引いたところで冷静に見られ、尚且つ楽しめるのだ。
その理由は、なんといっても圧巻でありながら、どこか間の抜けた「非人間的な」アクションだ。「絶対無理だって」と笑いつつも、結局その迫力に圧倒されている、そこにこの映画の魅力がある。

今回レビューするのは同シリーズ最新作にして、三作目以来のジェット・リー主演復活作で、舞台はこれまでの中国から、西部開拓時代のアメリカ西海岸にうつっている。
見所は、ジェット・リー扮する黄飛鴻(漢字間違ってたらごめんなさい)が西部のガンマン達を相手に、どんなカンフーアクションを見せてくれるか、だ。
確かにアクションは期待を裏切らない、人間離れしたものだったが、ちょっと残念だったのは肝心のアメリカ人達もが格闘になると途端にカンフー使いになってしまう部分だ。監督が「燃えよデブゴン」で有名なサモ・ハン・キンポーだし、武術指導も香港から(ひょっとしたら武術指導もサモだったかも)来ているから、アクションがカンフーになってしまうのは仕方がないのだが、もうちょっと工夫してほしかった。日本の某3D格闘ゲームでも参考にしてほしいところだ。
でも、そのちぐはぐさというか、中国なんだかアメリカなんだかわからない、無国籍さがこの映画の最大の魅力でもある。

「カンフーに興味があって、西部劇も好き、それでいてB級くさいのはもっと好き」と言うツウな人には超オススメだ。