エンターテインメント・レビュー

第二十三弾

Playstation 2 用ゲーム

The Bouncer

スクウェア作品

20世紀最後のRPG大作として発売された本作。
それだけスクウェアの作品は期待されているし、また作る側にも力が入っている。
問題は、本作が大作であるか否かだ。

スクウェアの作品=大作となっている現状において、率直に言って本作は駄作かもしれない。
真新しさのまったくないシステムやムービー。
相変わらずの特殊部隊や傭兵が活躍するお約束のストーリー。
どれをとってみても、スクウェアの作品としては平凡だ。

ただ、自分は正直楽しめた。
真新しさのないシステムは、同時に親しみやすい簡素なシステムでもある。マニュアル/攻略本片手でなければ操作することすら難しいゲームが、特にスクウェアのゲームに多い中にあって、この「The Bouncer」は実に単純かつシンプルな操作で楽しめる。
ムービーも今となっては新鮮味にかけるが、ゲーム画面との違和感はなくスムーズに(読み込みは多くて長いが)流れるため、観ていて嫌にならない。
ストーリーも、設定は確かにお約束パターンだが、敵キャラのドラマの持たせ方など、中々凝った部分もあって、しかもプレイ時間が大体1時間半くらいなので、手軽に楽しめた。

難を言えば、ゲーム場面が少ないことだ。
本作の7割はムービー+ドラマ場面で、プレイヤーが操作するのは3割程度で、これではちょっとゲームとしては物足りない気がする。

本作はスクウェアが出していなければそんなに売れなかったかもしれないし、そんなに酷評もでなかったかもしれない。
やはり「スクウェアのゲームは大作でハズレがない」という思い込みをユーザーやマスコミが捨てなければ、ゲーム業界はますます失速していくだろうと考えさせられるソフトだった。

「格闘ゲームはあまり得意ではないけど結構好き」とか、「映画を観るようにゲームを楽しみたい」という人にはおススメの一本である。