エンターテインメント・レビュー

第二十七弾

インターナショナル映画

キス・オブ・ザ・ドラゴン

クリス・ナオン 監督作品

前回に引き続き、今回もアクション物だが、本作品はシリアスだ。
それもそのはず、プロデュース&脚本があのリュック・ベッソンなのだから。

ストーリーは単純かつ暗かった。
麻薬取引がらみで捜査のためパリに派遣された中国の捜査官リュウ(ジェット・リー)は、なぜか中国人嫌いのフランス警察の刑事リチャードにハメられ、麻薬王を殺した犯人にされてしまう。リュウは現場にいた売春婦ジェシカ(ブリジット・フォンダ)と出会い、ともにリチャードらに立ち向かう。
というのが簡単なストーリーの説明。
汚職警官が悪役というのは「レオン」と同じ。リュック・ベッソンは相当警察が嫌いらしい。

だが、リアリティがない。
いくらパリとはいえ、白昼警官隊が民間人を巻き添えにして銃撃戦してお咎めなしですまされるはずがない。チェッキー・カリョ演じるリチャードは軽くて降格処分、普通なら免職ものだが、この映画では終始敏腕刑事として扱われている。

アクションシーンも地味だった。
ワイヤーやCGを使えとは言わないが、もう少し華のあるアクションシーンにしてほしかった。
「ロミオ・マスト・ダイ」の時にも書いたが、やはりアクション監督のコーリー・ユアンの力量不足がうかがえる。ジェット・リーはもっと華やかにカンフーを見せられる役者なはずだ。ブルース・リーやジャッキー・チェンとの最大の違いは、その華やかさなのだ。やはりジェット・リーのアクションを演出できるのはユエン兄弟なのだろうか。

全体的に退廃していて暗く、話にもあまりのめりこめなかったが、リュック・ベッソンおよびジェット・リーファンは一見の価値があるかもしれない。
何せ二人が組んだ映画なので、よくも悪くも二人の好みが出ている映画だった。