エンターテインメント・レビュー

第三十一弾

ハリウッド映画

ハリー・ポッター と賢者の石

クリス・コロンバス監督作品

前回に引き続き、大作の登場である。

本当は、今回は小説「白い犬とワルツを」にしようと思っていたが、読了後にハリー・ポッターシリーズ三作を読み、さらには映画を見に行き、気が変わった。

ハリー・ポッターの原作は面白い。
これには色々ケチをつける人も多いと思うが、自分は率直に楽しめたし、何か懐かしさ=小学生の頃、江戸川乱歩の小説を貪るように読んだようなワクワク感を感じた。三作は厚い本だが、一気に読んでしまった。

で、映画の話。
原作付の映画の場合、一番の話題になるのは、原作のイメージを壊していないか、だ。
本作は、自分が原作を読んだときにすでに映画がかなり露出していたので、イメージはピッタリだったように思えた。キャスティングもばっちりだし、セットも本の雰囲気にかなり近かった。ストーリーも原作のダイジェスト版的な部分は否めないものの、危なげなく映画ならではの脚色も活かされている。

ただ、原作を読んでなかった場合はどうだったか。
正直、説明不足なところが結構あったのではないだろうか?
なぜスネイプはハリーをいじめるのか、とかドラゴ・マルフォイとハリーの仲がなぜ悪いのかとか。またなぜヴォルデモートはハリーの父と母を殺したのかとか、原作では丹念に説明されている部分が思いっきりハショッてあったので、説明不足ではないかと心配してしまう。

だから、まだ映画も小説も見ていない人は、まず小説を読んでから映画を見に行くといい。舞台背景を完璧に飲み込んで映像を見ると、より映画を楽しめるからだ。

この映画を今春公開の「ロードオブザリング」と比較する人もいるが、あっちは完璧な剣と魔法の世界で、ヒロイックファンタジーなのに比べ、ハリー・ポッターは魔法のみの世界観で、しかも童話なのだから比べようがない。

童話が好き、子供が好き、学園物が好きな人にはオススメな一本である。