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○原生林
   T「数ヶ月後」
   自然の中を闊歩する動物達。
   髭面に、汚くなった恰好の本田、生き生fj12-1.JPG (10121 バイト)
   きとした表情でそれを追う。
文左右衛門(N=ナレーション)「ネル達と別れ
 たジョスターは、本来の目的を思い出したか
 のようにここに住む動物達の生態調査に乗
 り出した。ネルを忘れる為であることは明か
 だった」
   四つん這いになりながら、狼達の群に
   接近する本田。
   狼達、本田の接近に気づくが、不思議
   と警戒せず、本田の鼻面を匂う。
文左右衛門(N)「興味深い事に、人間達に警戒
 心を抱くはずの動物達が、ジョースターに限
 っては全く警戒をしない。これはこのジャン
 グルが彼を受け入れたという事なのだろう
 か」
   分厚い本を開く文左右衛門。
文左右衛門(N)「我々の生活は全てが順調だっ
 た。ただ一つ、聖書を忘れてきた事を除け
 ば」
   文左右衛門が読んでいる本は漢和辞典fj12-2.JPG (7751 バイト)
   である。
文左右衛門(N)「仕方なく、こうして日本語の勉
 強をしているのだが、これはこれで結構楽し
 い。ただ−」
   槍を削る本田。
文左右衛門(N)「最近気になるのは、彼が野生
 かし始めた事だ」
   本田、奇声を発しながら野を駆けめぐ
   る。
   夜。豚の丸焼きをほおばる本田。
文左右衛門(N)「すっかり私の話にも耳を貸さ
 なくなってしまった」

○湖畔
   文左右衛門、ひとり湖畔に佇んでいる。
   その後方でガサッと音がする。
   振り向く文左右衛門。
   ほぼ原住民化した本田が出てくる。
文左右衛門「あ、ああジョースターか」
   本田、ニコリと笑い、水に向かって歩い
   ていく。
文左右衛門「何をするんですか?」
本田「魚、取る」
   言葉がぎこちない本田。
   フッと寂しい表情になる文左右衛門。
文左右衛門(N)「我々の旅にも終わりの時が近
 づいていた」

○洞窟 (夜)
   本田と文左右衛門、焚き火を挟んで座
   っている。
   ひたすら槍を削っている本田。
文左右衛門「ねえ、ジョースター」
   文左右衛門を見る本田。
文左右衛門「そろそろ我々も帰らなければなら
 ないよ」
本田「なぜ?」
文左右衛門「私は英国国教会に帰り、ここの民
 に布教した事を報告しなければならない。あ
 なただって学者としてしなければならない事
 があるでしょう?」
本田「学者として...」
   考え込む本田。
文左右衛門「ジョースター...」
   本田、突然スクッと立ち上がり、表に出
   ていってしまう。
   呆然とするしかない文左右衛門。

○崖 (夜)
   雨の中、以前来た事のある崖の下から
   上を見上げる本田。
本田「俺は、何故ここに来たんだ...」fj12-3.JPG (5758 バイト)
   つぶやく本田、ハッとなる。
   崖の上に一匹の狼が現れる。
   何かに憑かれたようにその狼を見つめ
   る本田。
   狼もまた、本田をじっと見下ろしている。
   雨の音が彼らを包んでいる。

                                        次回へつづく


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