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○地下牢 (朝)

   目を覚ます本田。

   薄暗い地下牢の天窓から、朝日が射し

   込んでいる。

   本田、目を見開き、起きあがる。

   そこに文左右衛門の声。

文左右衛門「ジョースター」

   驚き、声の方を見る本田。

本田「ヨハネ!」

文左右衛門「あなたも捕まってしまったので 

 すか」

本田「ほんじゃ、ヨハネもあの女につられて

 かい?」

文左右衛門「何です?それは」

本田「あれ?違うの?」

文左右衛門「私は、歩いていて何者かの気配

 を感じたので振り向いたのですが」

本田「そこで殴られた」

文左右衛門「うかつでした。で、あなたは?」

本田「いやぁ、僕は湖まで行った所で殴られ

 てね」

文左右衛門「さてはあの女性が水浴びでもし

 ていたんですね?」

本田「するどいね」

文左右衛門「ま、お互い情けないってことで

 す」

本田「これからどうしよう?」

文左右衛門「ま、私にとってここを抜け出す

 のはわけない事ですが、もうすこし様子を

 見ていたい心境ですね」

本田「でも、どこなの?ここ」

文左右衛門「さぁ。我々が襲った村とは雰囲

 気が違うように感じますけど」

   地下牢前の廊下の方から物音が聞こえ

   る。

文左右衛門「シッ」

   口元に指をあて、廊下の方を注意深く

   見つめる文左右衛門。

   本田、静かに壁沿いに廊下の方に近づ

   く。

   廊下の奥からゆっくりと歩いてきたの

   は老女・ティ(70?)だった。

   息をのむ本田。

ティ「気がついたか」

文左右衛門「あなたは?」

ティ「まずそちらから名乗るのが礼儀という 

 ものだろう?」

文左右衛門「私はヨハネ・文左右衛門。悟り

 を開くためにここへ来ました。こちらがー」

本田「僕はジョースター・本田。ジョースタ

 ーって呼んで」

ティ「私はティと言う。この村のまとめ役の

 ような者だ」

文左右衛門「どうして我々は捕らえられたの

 ですか?」

ティ「おまえ達はワンの村から食料を盗んだ」

本田「じゃ、やっぱここはあの村だったのか」

ティ「違うな。ここはワンの村ではない」

文左右衛門「どういうことです?」

ティ「ここアーの村は女だけの村だ。ワンの

 村は男達の村で、我々は敵対している」

本田「お、女だけ」

文左右衛門「しかし、どうしてあなたは我々

 の言葉を?」

ティ「それはな、都合というものだよ」

文左右衛門「は?」

ティ「私が喋れなければ、おまえ達とのコミ

 ュニケーションがとれないだろう」

本田「それって要するに...」

ティ「そういうことだ」

文左右衛門「何て短絡的な」

本田「ところでさ、あの娘はどうしたの?」

ティ「ネルの事か?」

本田「名前知らないんだけど、僕が殴られた

 時湖にいた」

ティ「ネルだ。あれはもう仕事についている」

本田「仕事って畑かなにか?」

ティ「あれはこの村の戦士だ。今も他の者と

 警備についている」

文左右衛門「何故あなた達は戦っているんで

 すか?元々は同じ部族でしょう?」

   言葉につまるティ。

   二の句が継げず、ティの返事を待つ本

   田と文左右衛門。

ティ「おまえ達には関係のない事だ」

   憮然と言い放つティ。

本田「つれないなぁ」

ティ「とにかく、おとなしくしててもらおう。

 戦争状態にあるとはいえ、ワンの連中との

 無用な争いは避けねばならない」

   と言い捨て、立ち去るティ。

   本田と文左右衛門、呆然とティを見送

   る。

   ため息をつく本田。

   そこに、ティの立ち去った方向とは反

   対側の廊下奥からガサッという音がす

   る。

   再び緊張する本田と文左右衛門。

 

                つづく