GigaHit

〇同・玄関&居間 (夜)
   ドアを開け、友子が入ってくる。
   由紀江、フラッと友子の前に現れる。
友子「(靴を脱ぎながら)遅くなっちゃった。
ご飯どうした?」
由紀江「...」
友子「...どうしたの?」
由紀江「おじさんとこ行ってたの?」
友子「えっ、うん。...いや一回挨拶しとこ
 うと思って」
由紀江「(つぶやくように)私がヤなの?」
友子「えっ?」
由紀江「そんなに私の事キライ?迷惑なんで
 しょ!私がここにいると!」
友子「ちょ、ちょっと待ってよ私は別に...」
   由紀江、自室に駆け込みバタンとドア
   を閉める。
   友子、大きくため息をつきながら髪を
   かきあげる。そこに電話が鳴り出す。
友子「...この前と同じパターン」
   受話器を取る友子。
友子「はい、もしもし」
苗場の声「あ、もしもし。えっと苗場といい
 ますが、あの、由紀江さんは...」
友子「えっと...今ちょっと出れないみたい
 なんで、後でかけ直してもらえますでしょ
 うか。...すいませんどーも」
   電話を切る友子。
友子「大変なのよ、今は」
   と、独り言を言い、こめかみを押さえ
   ながら自室に向かう。
    
〇富士美大・教室 (翌夕)
   ゾロゾロと生徒達が出ていく。
   友子、教科書等をバッグにつめている。
   香、友子に近寄る。
香「友子。今日あんたんとこ行っていい?」
友子「え、別にいいけど。なんで?」
香「たまにはご飯でも作ってあげよっかなー
 と思って」
友子「あら、どういう風の吹き回し?」
香「これでも責任感じてんのよ。あんたケガ
 させちゃった事」
友子「ああ。だってもうこの通りバンドエイ
 ド貼ってるくらいだから全然大丈夫よ」
香「よかったよ。あん時はどーなる事かと思
 っちゃった」
友子「そそっかしいのよ私も香も」
香「ともかく、今日は友子んちでディナーパ
 ーティーね」
友子「上原君も来るんでしょ」
香「もちろん。由紀江ちゃんもいるんでしょ?
 今夜は」
友子「え...うん。よくわかんないけど」
香「また何かあったの?」
友子「ちょっとね。もういつもの事って感じ」
香「御愁傷さまです。ね、志村君も誘うでし
 ょ?」
友子「え?うん...どうしようかな」
香「さそっちゃいなよ。ね」
友子「うん。そうね。そうする」
香「よーし。一歩前進!」
友子「ね、行こ」
香「あ、あたしちょっと図書館に用があるか
 ら。一人でお誘いしなさい。夜には行く」
友子「わかった。じゃ、今晩ね」
   友子、香に手を振り、教室を出る。
 
〇同・正門前 (夕)
   友子と志村、並んで歩きながら正門をpfl8.jpg (9316 バイト)
   出る。
志村「ルームメイトって難しいからね」
友子「うん。なんかだんだん恐くなってきち
 ゃって」
志村「由紀江さんが?」
友子「うん」
志村「なら別のアパート探した方がいいかも
 ね。がまんしててもしょうがないし」
友子「やっぱそれしかないか」
志村「何かあったら俺に言って。いつでも相
 談にのるし、助けてあげられる事もあるか
 もしれないし」
友子「ありがとう」
   嬉しそうに志村を見る友子。   
   背後から友子を呼ぶ声。
苗場「鳩...中さん?」
   振り返る友子と志村。
苗場「やっぱりそうだ。いやソックリだな、
 あの絵」
友子「あの...?」
苗場「あ、俺きのう電話した苗場です」
友子「ああ」
苗場「あのー、由紀江さんは?」
友子「あの子とは学年別だから」
苗場「きのうはどうでした?彼女の様子」
友子「えっと、あの子とはどういう?」
苗場「...あの、時間あります?」
友子「え、えーっと」
   と志村を見る。
志村「あ、じゃ俺、先に帰るよ」
友子「あ...そ、そォ」
志村「じゃ」
   志村、友子と苗場に挨拶をし立ち去る。
友子「(独り言)誘えなかったじゃない」
苗場「あの、ひょっとして邪魔しちゃいまし
 た?」
友子「(独り言)思いっきり」
苗場「え?」
友子「え?あ、ううん何でもない。場所変え
 ましょう」
苗場「はい」

 

次回につづく


次へ Topへ