海外移住情報


海外不動産の基礎知識





海外移住する場合、必要不可欠なものが住宅。それだけに最も多いトラブルが不動産に絡んだ問題。
海外移住資金の大半を使って購入した不動産が、騙し取られたりした場合は実に深刻です。
しかし原因の大半は不動産の基礎知識不足。海外の場合は日本と違って、外国人名義での土地取
得ができない場合も珍しくありません。物価の安い国々では、外国人に自由に土地購入を認めてしま
うと買い占められる危険性がありますし、土地は国民のものという概念がある場合があります。
また外国人の購入に制限があるにもかかわらず、業者や現地の人の誘いを疑いもなく信じてしまう場
合も少なくありません。いずれにしても基礎知識があれば怪しい話を警戒する事もできますし、手続き
業者や不動産業者を選別することもできます。日本にいる感覚で、「安いから」と安易にお金を払ってし
まうのだけは止めましょう。
国別不動産事情などについては<各国編>をご覧ください。



賃貸不動産


賃貸物件の場合は、外国人の契約に制限があることはありません。日本と同じように賃貸契約できま
す。一番の課題は、家賃の妥当性の問題。外国人向け物件の場合は、割高な外国人料金が設定さ
れていたりする場合があります。また日本人向け業者の中には、高額な物件を中心に扱っていたりす
る場合があります。賃貸物件を借りる場合は、その物件の賃料が妥当であるかどうか、周辺の物件賃
料を自ら調べるなどして、適正相場を把握する必要があります。
またアジアの国々では、急に値上げを要求してくる大家さんもいたりするので、契約書を熟読し、不利
な部分があれば交渉して内容を改訂してもらうことも必要でしょう。

○失敗例
◆アパート物件は気に入って契約したものの、他の部屋の人より高い家賃だった。
◆日系業者を信頼していたが、高い物件ばかり紹介され、入居後周辺に安くて良質な物件がたくさん
あるのが分かった。
◆ブローカーに案内され、半年分の前家賃を払い契約したが、偽の物件と家主であることが分かり、
家賃を騙しとられた。



コンドミニアム、分譲アパート


コンドミニアム(分譲マンション)や分譲アパートなどの共同住宅は、国を問わずに外国人・個人名義
での取得ができます。
アジア地域など、土地の安い地域では日本と逆で、一般住宅よりコンドミニアムの方が価格が高いの
が普通。一般的な土地付住宅の何倍もの価格となっています。これは、高価な建築資材や先進建築
技術が必要となるため。現地の富裕層や外国人を対象にしている物件は、より割高設定になっている
場合もあります。

○アジアでの失敗例
◆外国人向け高級物件を気軽に購入したものの、売却するときは四苦八苦で、買主がなかなか見つ
からない。また賃貸として誰かに貸そうにも借主が見つからない。このため日本に帰国したくても、な
かなか出来ないはめに・・・。



土地付住宅


○外国人・個人名義での購入登記

建物は外国人名義で登記できる場合が多いものの、東欧やアジア、南太平洋の国々の多くでは、
土地の購入および外国人名義での登記が禁止されている場合が珍しくありません。またオーストラ
リアでは外国人の中古住宅の購入ができなかったり、マレーシアでは500万円以上の高級住宅に限
られるなど、外国人の住宅購入に関しては各種の制限がある場合があります。

○外国人の購入が出来ない国でのトラブル例
◆不動産会社で「現地の人の名義にして、無償の賃借契約を結べば大丈夫」と言われ、書類にサイン
して購入したものの、入居後に名義人を名乗る人間が現れ、強引に退去させられてしまった。
◆現地の知り合いに相談したところ、現地の名義人を紹介され、謝礼を払う事で名義を借りることにし
たものの、名義人の家族が住み始めて占拠されてしまった。
◆騙されて家を取られてしまったため、裁判にかけようと思ったものの、アジアや太平洋諸国の多くで
は、裁判は自国民の権利が優先。内容に関係なく、外国人が勝つことは無理だということが分かった。

○建売分譲会社とのリース契約
日本と同様に、土地開発し分譲住宅を作って販売するケースは多く、ショッピングセンターなどでPRし
ているケースもよくありますが、外国人名義で登記できないことを伝えると、決まって「リース」にす
れば大丈夫という答えが返って来ます。これは購入代金を払い、土地登記の代わりに分譲会社と長期
リース契約するというもので、建物部分を登記できる場合もあります。
賃貸用住宅を借りるよりもメリットがある場合は、この方法も選択肢のひとつになりますが、リース契
約先の分譲会社が将来的に倒産したりするトラブルなども考えられ、またその会社の信用度などの問
題もあるため、弁護士などとの法的検討が必要です。

○会社を作り、会社名義での購入登記
個人名義で購入できない国でも、会社を作り、会社名義で購入登記することができます。会社を作る
手間と手続きは必要ですが、合法的に登記できます。但し、国によって外国人が社長に就任できなか
ったり、持ち株の制限があったりして、外国人経営者の権限・権利が制限されている場合があります。
この場合、会社を乗っ取られてしまう危険性があり、住宅も失う事となります。



借地と建物建築


土地を借りて借地に住居を建てることは、多くの国で可能で、国によっては建物部分の外国人名義で
の登記ができます。借地契約の期間も法律に規定されている場合があり、通常20年前後から50年近
くの長期契約が一般的。また、本契約および更新契約終了後は、建物は地主の所有になる場合があ
ります。但し、契約内容は貸主との交渉によりますので、借地契約書作成は弁護士に依頼し、法的認
証することが望まれます。
尚、契約終了後の建物は、地主がそのまま使うか、または地主が解体費用を負担して更地にするの
が一般的。借地の場合は、建物を建ててしまうと地主の立場の方が強くなるために、地主が信用でき
るかどうかも重要な課題です。

○トラブル例
◆短期契約の借地に住宅を建てたが、契約期間終了時に更新を拒否され、退去を要求された。地主
は、最初から住宅を取り上げるのが目的だった。
◆建物が完成した途端に地主の態度が豹変。契約の異議と無効を主張、退去を求められた。裁判して
も、自国民保護の法律がある途上国では、裁判で正しい方が勝つとはかぎらない。
◆期間分の借地料を支払った後に、借地料の追加支払いを時々要求される。